まずは定格でのテストから
では実際にオーバークロックしていくが、今回のテストは「どこまでオーバークロックできるか」ではなく、「オーバークロックするとどうなるか」に着目して比較を行った。
というのは、そもそも「どこまでオーバークロックできるか」は「どう冷却するか」にも掛かってくるからで、ドライアイスや液体窒素まで持ち出せばそれなりにいけると思うのだが、一般的な環境ではそうそう上がるものではない。むしろ、「どう温度が上がるか」とか「消費電力はどうなるか」「その際の性能はどうか」というあたりをもう少し見てみる事にした。
テスト環境は表1の通りである。編集部で行ったテストと、CPU(Core i7-4790K)のみ同一の個体であるが、あとは全て異なっている。ちなみにCPUクーラーはサイズのAPSALUS III 120を利用した。
■表1 今回のテスト環境その1 | ||
CPU | Intel Core i7-4790K | Intel Core i7-4770K |
---|---|---|
M/B | ASUSTek Z97-Deluxe | |
BIOS | BIOS 1008 | |
Driver | Intel Chipset Software V10.0.13.0 | |
Memory | XMP-1866 CL10 16GB (Corsair VENGEANCE CMZ16GX3M2A1866C10 8GB×2) | |
Graphics | 内蔵GPU | |
Graphics Driver | Intel Graphics Accelerator Driver V10.18.10.3469 | |
Storage | Intel SSD520 128GB(System) + HGST HDP725050GLA360 500GB(NTFS) | |
OS | Windows 7 Ultimate 64bit 日本語版+SP1 |
テストであるが、絶対性能そのものはCineBench R15で、動作するかどうかの安定度テストはAIDA64のSystem Stability Test(Photo07,08)を利用し、5分間連続稼働させてその際の温度と消費電力を測定した。
Photo07:左上にあるように、CPU/FPU/cache/System Memoryのコンポーネントに負荷をかけ続けながら、同時にCPU利用率や温度を測定できる。本当は温度はコア毎にも測定できるが、全コアに負荷をかけている状況なので、CPU全体の温度のみ表示している |
まずは定格での動作を一応確認してみた。CineBench R15のCPU Benchmarkの結果は
- Core i7-4770K:757
- Core i7-4790K:840
であった。一方AIDA64のSystem Stability Testでの結果は
- Core i7-4770K:59度
- Core i7-4790K:69度
となっている(Photo9~12)。Photo10/12から分かる通り、Core i7-4770Kは3.8GHzで、Core i7-4790Kは4.2GHzで連続稼働しており、動作周波数比は4.2 : 3.8 ≒ 1.105 : 1でほぼ1割増しといったところ。一方CineBenchの結果は840 : 757 ≒ 1.110 : 1といったところで、動作周波数の比そのままといったところで、これは予想通りである。
グラフ1はそのStability Test実施中の消費電力変動を記録したものである。
安定した後(30秒~270秒の間)の平均値と最大値は以下の通りで、
平均値 | 最大値 | |
---|---|---|
Core i7-4770K | 111.2W | 112.1W |
Core i7-4790K | 136.0W | 136.8W |
Core i7-4790Kが22%ほど大きくなっているが、これは動作周波数が上がるにつれて供給電圧も上がる(Photo03と04のCore Voltageを見比べてみると分かる)ので、2割で収まるのは妥当な範囲であろう。