1980年代後半、"空前のペットブーム"と呼ばれてから30年以上、いまやペットを飼うことはすっかり定着した文化となっているが、そんな中、"メタボリック"な犬や猫が増えているともされ、ペットの健康は人間同様、大きな問題となっている。特に、理想体重よりも15%以上重い状態を"肥満"と呼ぶ犬の場合、3頭に1頭がそれに値するとも言われており、自分の買っている犬の健康状態を危惧している飼い主も多いのではないだろうか。

そんな中、NTTドコモが今年3月にサービスを開始したのが愛犬向けの新サービス「ペットフィット」だ。簡単に言うと、今人間界での流行中の犬向けの"活動量計"のようなもの。「ペットフィットタグ」と呼ばれる万歩計のような装置をペットの首輪に装着しておくと、愛犬の動きや周囲の温度などを計測し、ネットワーク通信を通じて、スマートフォンやパソコンでペットの様子や健康状態を管理できる。また、機器にGPSを搭載しているので、健康管理だけでなく、ペットの位置情報も把握。万が一、行方不明になった場合などにも居場所を追跡することができる。

「ペットフィットタグ」は、犬の首輪に簡単に取り付けが可能

NTTドコモは6月14、15日の2日間、東京・お台場のビーナスフォートで行われた、愛犬家向けイベント「いぬのきもち スプリングフェスタ2014」で同サービスを紹介。同社のブースには、ペットの健康状態を気に掛けている多くの愛犬たちが興味深い様子で立ち寄っていた。

6月14~15日に東京・お台場のビーナスフォートで行われた、「いぬのきもち スプリングフェスタ2014」。「ペットフィット」のブースには、ペットの健康が気になる多くの愛犬家が関心を寄せた

説明を聞く前は、「犬用のケータイ!?」と皆一様に驚いた様子の愛犬家たち

「ペットフィット」の具体的なサービス内容を見てみると、スマートフォンのアプリのトップ画面に、愛犬の歩数と距離、設定した目標値に対する達成率を表示。また、現在場所の温度や「寝ている」「休んでいる」「歩いている」「走っている」をアイコンで表示し、外出先からでも愛犬の行動の様子や環境が確認できる。これらの分析は、加速センサーが感知した動きのデータを解析して行われている。

スマホアプリのトップ画面。ペットの行動の状態や歩いたデータが参照できる

ペットの情報登録画面。最大10人まで見守りができる

ペットの活動状況は、日、週間、月間、年単位で一覧可能。歩数の状況で、睡眠時と時間を解析する

食事の情報は選択式で入力。900種類以上のペットフードのカロリーデータを網羅しているので、運動量データと連動して、カロリー収支が簡単に把握できる。その他食事や運動データに基づいた獣医師監修によるアドバイスも表示され、大切なペットのヘルスケアを様々な角度からサポートしてくれる。

カロリー収支の確認画面。愛犬の運動不足や食べ過ぎが一目瞭然

カロリー収支の状況に応じて、獣医師監修によるコメントも表示される。健康管理や改善に参考になる

専用の機器は、愛犬に取り付けるタグの他に「ペットフィットステーション」と呼ばれるターミナル端末から構成される。2つの端末はBluetoothで接続され、接続が一定時間途切れた場合には、愛犬が迷子になったと判断し、事前に指定したメールアドレスに通知し、GPSにより居場所を追跡できる。ターミナル端末はタグの充電器としても機能し、1回の充電で1週間程度稼動できる。

「ペットフィットステーション 01」(左)と「ペットフィットタグ01」(右)。ステーションの上にタグを置くことで充電ができる

タグの重さは約29グラム。小型犬が取り付けても問題ない

このように様々な機能を備えた「ペットフィット」。気になるの利用料は、料金初回契約時は2万5,900円。一見高そうに感じる人もいるかもしれないが、これに端末代金1万6,400円と事務手数料2,000円が含まれ、残りは年間の通信料5,100円と付加機能使用量2,400円となり、1日あたりに換算するとわずか約71円ということになる。さらに、2年目以降は端末代金や事務手数料は不要のため、年間で7500円。1日あたりにするとたったの約21円だ。これだけで大事なペットの健康維持と、万が一行方不明となった場合の保険と考えると決して高いものではないだろう。

月額に換算すると初年度は2,158円で購入できる。家族同様に大事なペットの健康と安心のためには「決して高くはない」と答える人も多かった

またドコモが提供するサービスだけに、携帯キャリアの問題も気になるところ。実際、イベント会場でブースを訪れた人の中でもサービスに関心を持っていながらも、ドコモとの回線契約がない人も見受けられた。だが、「ペットフィット」は携帯キャリアの縛りはない。ドコモ以外でもau、ソフトバンクなどどこの通信網を使っていても利用できる。もちろん、管理画面はパソコンからのアクセスも可能だ。

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イベント会場でプレゼンテーションなどサービスの説明を行っていたNTTドコモ M2Mビジネス部コンシューマM2Mビジネス スマートホーム担当の吉田祥平氏は「ペットフィット」について次のように語る。「ペット向けにも携帯電話のサービスを提供していきたいというドコモの以前からの思いがようやく実現したかたち。ペット用の携帯電話と聞くと、はじめは違和感があるかもしれないが、内容を聞くと納得、共感してくださる方が多い。すべての愛犬家の方に便利に使っていただきたいので、キャリアを限定することなく、料金も気軽にご利用いただけるように設定した」とのこと。

イベント会場の特設ステージでは、NTTドコモの吉田さんによるプレゼンテーションも。「ドコモ以外のキャリアでも利用可能」との説明に、「ドコモさん、太っ腹!」と驚きの様子の司会の犬大好き芸人の松本秀樹さんだった

愛犬の健康状態や失踪などを心配していた飼い主にとっては、これまでになかった、願ってもないサービスと言えそうだ。