Beats Musicは月額固定料金で音楽が聴き放題となる、いわゆる「サブスクリプション型音楽ストリーミング」サービスの1つであり、現在iTunes StoreのライバルとなっているPandoraやSpotifyといったサービスに対抗していくのが狙いだとみられる。Bloombergの記事によれば、今回の買収を指揮しているのはAppleオンラインサービス担当のEddy Cue氏であり、おそらくその予想は間違いないだろう。実際、Cue氏とBeats創業者のIovine氏は旧知の仲で、この関係が買収交渉へと結びついたと考えるのは難くない。

今回の買収が成立すれば、おそらくBeats MusicはMOG同様に閉鎖され、新たにAppleの新サービスとして近々再スタートすることになるだろう。「Beats by Dre」ブランドの行方は不明だが、Apple自身がそのまま内部で維持していくかは難しいところだ。今回の買収において、最も大きな恩恵を受けるのはCarlyle Groupだといわれている。Carlyleが50%未満の株式購入で支払った金額は5億ドル前後だとされており、仮にAppleがBeats買収で32億ドルを支払った場合、その半分の15億ドルがCarlyleの手元に入るとして、投資からわずか1年ちょっとの間にCarlyleはキャピタルゲインとして10億ドルを手にしたということになる。

これに対し、「もしも」のストーリーを描いているのはTechCrunchだ。HTCがBeats株式50.1%買収で支払った金額は約3億ドルであり、Carlyleの取得金額より2億ドルほど安い。業績面で苦戦するHTCにとって、差額の12億ドルというのは、非常に有用な戦略投資となっていたのではないだろうか。