2016年にも利用可能になる3.5GHz帯の周波数を割り当てられるという前提の上で、この帯域にもLTE-Advancedを導入し、これによって超高密度のトラフィックに対応したい考えだ。

特定の時間と場所に、局所的・ゲリラ的に急増するトラフィックの対策が必要

LTE-Advancedと3.5GHz帯でミクロのトラフィック急増に対応する

auの800MHz帯LTEは、実人口カバー率で99%を達成し、これをベースにする

3.5GHz帯は、従来と比べても広い帯域幅が割り当てられることになっている

この3.5GHz帯の周波数だが、原理的には直進性が強く、伝搬距離が短く、屋内浸透率が低い、などの特徴がある。こうした点から、KDDIではベースを800MHz帯にして広いエリアをカバーする方針で進めてきた。

しかし、3.5GHz帯の特徴は、デメリットにもメリットにもなる。メリットは、障害物を回り込まず、狭い地域をエリア化できる。近くにおいた基地局同士の干渉を抑えられる、ということになる。狭いエリアに小さな基地局(小セル)をたくさん設置できるようになり、基地局1つあたりがカバーするユーザー数を減らすことができる。例えばこれまでの基地局1つを100人のユーザーが共有していた場所に小セルを10基設置すると、1つあたりのユーザーは10人になり、基地局の容量が同じなら、ユーザー1人あたり使える容量は10倍になる。

3.5GHzは、800MHz帯と比べると直進性が高く、回り込まないという特性がある。実際にKDDIのテストでも、直線道路上は直進するが、その横の道には電波が届かなかった

この特性を利用することで、特にトラフィックの高い場所にスポット的に基地局を設置しやすくなる

電波の干渉が起こりにくいため、高密度に基地局を配置でき、小セル化が容易になる

基地局の要領が同じなら、小セルに少人数の方がスループットが向上する

「プラチナバンド」とアピールするベースのネットワークに小さな基地局を重ねる方法で、渡辺氏は「プラチナのリングにダイヤモンドを重ねる」と指輪で表現。800MHz帯と3.5GHz帯の組み合わせが最適で、最高品質を提供できる、とアピールする。

「プラチナバンド」とアピールしてきた800MHz帯に対して、3.5GHz帯は「ダイヤモンド」

とはいえ、単に3.5GHz帯を小セルで使う、というだけの単純な話ではないという。まず、「電波の見える化」を図り、効率的で緻密なエリア設計を可能にする。これは、3.5GHz帯の周波数の電波が、どのように進み、ビルなどの障害物にあたってどのように跳ね返るか、といったことがグラフィカルに分かる。