KDDIは今後のネットワーク技術に関する説明会を3月28日に開催。急増するスマートフォントラフィックをさばくための新たな技術について説明した。これらの技術は、現行のLTEを拡張したLTE-Advanced世代での導入を目指して開発を続けているという。

栃木県小山市にあるKDDI小山ネットワークセンター

現在、国内の携帯電話市場はスマートフォンへの移行が進んでいる。伸び率は鈍化しているとも言われるが、この3年間で一気に全体の42%まで拡大。携帯ネットワークに占めるトラフィックの割合はすでに98%に達し、KDDIでは2016年度には11年度比で16倍のトラフィック増加を予測している。

スマートフォンの契約数が拡大している

トラフィックは今後さらに拡大していく

スマートフォンへの移行はキャリア自身が推進していることもあって、トラフィック急増はキャリア自身のせいとも言える。とはいえ、今さら後戻りも、移行を縮小することもできない。そのため、キャリアはさまざまな対策を打ち出し、新たな技術の開発も続けている。

このトラフィックの急増に対しては、LTE-Advancedなどの新技術の導入、周波数帯域の拡大など、「マクロなトラフィックの急増に対処する」(KDDIの常勤顧問渡辺文夫氏)ための方策はいくつかある。しかし、渡辺氏は、「マクロの急増だけではなく、もっと別の観点が必要」と指摘する。それが「ミクロの視点」だという。

渡辺文夫氏

マクロというのは、携帯ネットワーク全体のトラフィックだが、ミクロでは、ある地点のある時間帯、といったような、局所的なトラフィックの増大を指している。

例えば都内を100m四方に区切って、それぞれの地点のトラフィックの推移を見てみると、住宅街は夜にトラフィックが増加し、都内の主要駅周辺は、朝のラッシュ時など、急激にトラフィックが増大する時間帯がある。渡辺氏は、時間的にも場所的にも限定的にピークが来るようなトラフィックが「ますます増える」と見ており、利用者が集中する「高密度」の対策が必要だと話す。

都内のトラフィックの分布では、住宅街の石神井エリアは低く、池袋周辺、しかもその一部が高い

時間帯による増減も大きい。こちらは朝8時のトラフィック

KDDIは、800MHz帯のLTEネットワークをベースとしてエリアを拡大。実人口カバー率は99%に達しており、このベースネットワークにLTE-Advanced技術を「遠からず」(渡辺氏)導入し、高速化、広帯域化を図る。