電卓は現在でも、全世界で1億3,000万台の需要がある。シャープは現在、年間700万台を出荷しており、そのうち国内が100万台、海外が600万台となる。
シャープ デジタル情報家電事業本部モバイルソリューション事業部パーソナルソリューション推進部商品企画グループ・西宮健司チーフは「国内ではリプレース需要を中心に、ビジネス向け用途として、あるいは生活必需品として売れている」と国内市場の状況について説明。
一方で海外市場については「新興国では引き続き堅調な伸びが期待されているうえ、欧米では中学や高校の普通科の授業で関数電卓が使用されるという背景もあり、全世界で年間4,000万台の関数電卓市場がある」と語り、国内・国外含めて「手元で素早く計算できる機械は、全世界で普遍的な需要がある」と安定した市場があることを強調する。
そうした市場に向けてシャープは、計算に特化した標準型の電卓のほか、関数電卓、グラフ関数電卓、プリンタ電卓などのほか、昨今ではデザイン性に配慮した製品群などを投入している。
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海外向けの再生材使用電卓「EL-R277B」 |
海外向けのグラフ関数電卓「EL-9900」 |
海外向け関数電卓「EL-W531」 |
海外向けチェックアンドコレクト電卓「EL-792C」 |
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海外向けの計算ドリル電卓の製品群 |
海外向け金融電卓「EL-738F」。2013年12月に発売した現行製品 |
海外向けグラフ関数電卓「EL-9950」 |
海外向けの一般電卓製品群 |
西宮氏は「当社の第1号電卓であるCS-10Aが誕生した1964年は、東海道新幹線が開通し、東京オリンピックの開催、富士山レーダーの完成といった出来事があった年だった」と当時を振り返る。それに照らして現在を「新幹線はリニアに変わり、東京オリンピックは2度目が開催されることが決定した。そして、富士山は世界遺産に登録された」と語った。そのように前置きしたうえで、「では、電卓はどうなるのか」と自らに問うた。
西宮氏は「消費行動や経済活動に限らず、生活には計算がつきものであると考えている。多くの情報機器が、新たな情報機器に吸収されていくなかで、電卓は単独の製品として生き残っている。スマホの電卓アプリが登場しても、電卓そのものは前年並みで横ばいで推移し続けている。それは、すぐに使えるという利便性や、操作性の高さによるものだと考えている」と電卓が単独の機器として存在する意義を強調。
今後の方向性として「電卓のデザインは、1970年代に固まっている。今後はスタンダードなスタイルを残しつつ、デザインに注力したもの、耐久性に優れたものを目指すのに加え、ウェアラブル性を持ったもの、複雑な計算が簡単にできるものなどが想定される」と語る。
そして、「シャープはこれからも、生活に寄り添う商品を提供し、電卓100周年を目指す」と、今後50年後に向けても継続的に電卓事業に取り組む姿勢をみせた。
電卓はシャープにとって長期的に事業を展開している領域であり、新たな提案によって市場を切り開いてきたシャープのDNAが詰まった事業ともいえる。また、電卓事業を発端として半導体事業、液晶事業、太陽電池事業が発展したという経緯もあり、シャープの新たな事業を生み出す役割を果たしてきたという点での意義も大きい。
今後、電卓はどんな進化を果たすのか。これからの50年間の電卓の進化においても、シャープが担う役割は大きいといえそうだ。
50周年記念キャンペーンを実施
なお、シャープでは、電卓発売50周年を記念したデザイン投票キャンペーンを、2014年3月18日~4月10日まで実施する。
インテリア、スマート、フェミニンという3つのコンセプトにおいて、それぞれ4種類のカラーを用意した12種類のデザインのなかから気に入ったものを投票すると、ナンバーワンに選ばれた電卓に応募した人のなかから抽選で100人に電卓をプレゼントする。また、ナンバーワンに選ばれたカラーは、実際に商品化されるという。
応募はSHARP iClub専用サイトから行える。結果は6月下旬に発表される予定だ。