iCloudとGPSを通してiPhoneの動きを追うIさんは、該当場所をストリートビューで検索。駒場東大近辺は高級住宅街であり、どうやらiPhoneが拾われた家はかなりの豪邸であることがわかった。

「この家の人に拾われたなら大丈夫だろうと思いました。それで、自分のiPhoneにメッセージを送ったんです。『警察に届けてください』とお願いしました」

しかし、一日待ってみてもiPhoneが動く気配はなかった。仕方なく、Iさんは自分のiPhoneに電話をかけてみることにした。すると、女性が出た。

「事情を説明したところ、渋谷警察署に届けに行くから安心してくださいと言っていただけたんですね。それならまぁ大丈夫だろうということで、連絡先も聞かずに電話を切ったんです。直接その方の家に取りに行くことは考えませんでしたね。だって向こうからしたら、こっちは誰かもわからない怪しい人じゃないですか」

警察なら安心だろう――そう思ったIさんだが、ことはそう簡単には運ばなかった。

「翌朝、iCloudで場所を確認してみたら、ちゃんと渋谷警察署にあったんですよ。それで、夜に警察署に行ったんです。iPhoneが届いているはずなので返してくださいと言うと、警察署の方が『ソフトバンクから連絡がくるはずだから、それを待ってくれ』と言うんですよ。しかも、そのとき担当者の向こうに私のiPhoneが置いてあるのが見えたんですね。必死に訴えたのですが、その手順を踏まないとダメだと言われて」

自分のiPhoneであることはすぐにわかったという

この場所にあることはわかっているのに、返してもらえない。納得のいかないIさんは「iPhoneを探す」アプリで場所を確認したことを説明し、スクリーンショットも見せた。しかし、担当者は首を横に振るばかりだったという。