パナソニックは2月4日、2013年度第3四半期の連結業績(2013年4月1日~2013年12月31日:累計期間)を発表した。営業利益は2,632億円(前年同期比216%)、最終損益(「当社株主に帰属する四半期純利益」)は2,430億円(2012年度第2四半期は△6,238億円)となった。
※ 本稿では特に断りのない限り、第1~第3四半期累計ベースの業績で記載しております。四半期会計期間単独の業績に関しては「四半期単独」と記載しております。
連結業績(米国基準に基づく。第1~第3四半期累計ベース。△は損失) | |||
2013年度第3四半期 | 2012年度第3四半期 | 前年同期比 | |
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売上高 | 5兆6,798億円 | 5兆4,397億円 | 104% |
営業利益 | 2,632億円 | 1,220億円 | 216% |
税引前利益 | 3,070億円 | △2,694億円 | - |
四半期純利益 | 2,430億円 | △6,238億円 | - |
決算発表によると、円安による押し上げ効果により売上高が前年同期比104%となる5兆6,798億円となった。事業別では、市況回復を背景に伸長した車載関連事業や、新設住宅着工需要が好調だったことを受けての住宅関連事業の伸長がみられた一方、収益を重視した事業展開を進めたことでデジタルコンシューマー関連事業は減収となった。
また、全社を挙げての固定費削減や、材料合理化などの取り組みにより、費用を圧縮。営業利益が大きく改善した。営業外損益では、回路基板事業の事業構造改革費用として217億円を計上する一方、第1四半期に実施したグループ子会社の年金制度変更に伴い798億円の一時益を計上したことで、税引前利益は3,070億円と前年同期の赤字から黒字へ転換している。
【左】為替変動による売上高増加のほか、固定費圧縮、材料合理化で営業利益は大幅に改善(四半期単独) 【右】セグメント別の営業利益(四半期単独)。収益構造の悪化が深刻だったAVCネットワークスも黒字転換している |
セグメント(事業)別の業績では、アプライアンス事業が円安で前年同期比115%(四半期単独)の売上となった一方、海外工場からの持ち帰り収支が悪化。これを消費増税前の需要増などで増加した販売による増益、およびコスト削減でカバーすることで、製販連結での四半期単独の営業利益は8億円増加し、154億円となった。
赤字体質が問題となっていたテレビ、デジタルカメラなどを扱うAVCネットワークス事業は、収益を重視した事業構造改革によりBtoC事業で売上高が減少する一方、BtoB事業において販売が増加。これに円安の効果などが加わり、四半期単独で前年同期の4,703億円から4,967億円へ売上高が増加し、営業損益も188億円のマイナス(営業損失)から117億円へと黒字転換している。これはBtoB事業の増販のほか、テレビ・パネル事業や携帯電話事業における事業構造改革、流通部門における固定費削減などの効果だという(同社では2013年12月にプラズマディスプレイの生産を終了している)。
一方で、同社では津賀一宏社長がBtoC事業からBtoB事業へ重点分野のシフトを明言しており、電池事業を扱うエコソリューションズ事業やオートモーティブ&インダストリアルシステムズ事業では、二桁成長を実現。エコソリューションズでは前年同期比110%となる4,756億円、オートモーティブ&インダストリアルシステムズでは前年同期比114%となる6,949億円(いずれも四半期単独)の売上高を計上した。営業利益はエコソリューションズが321億円(四半期単独)で、オートモーティブ&インダストリアルシステムズが282億円(四半期単独)。オートモーティブ&インダストリアルシステムズは、前年同期で赤字だったものが黒字に転換している。