Nikon 1 AW1は「Nikon1 J3」をベースモデルに防水・耐衝撃仕様を付加したモデルだ。したがって、通常使用における描写性能は基本的にJ3のそれに等しい。が、ただボディ強度の向上やシーリングの強化といった仕様付加にとどまらず、スイッチ類などのユーザーインタフェースや撮影機能も防水カメラとして考慮されている。

その代表例は、モードダイヤルがないこと。防水上の都合か耐衝撃対策か、はたまたグローブ操作のためかは不明だが、とにかく、Nikon 1 AW1にはモードダイヤルがない。撮影モードの切り替えは、カメラ内の加速度センサーと連携する「アクションボタン」で行う。カメラをホールドしたときに右手親指の位置にあるアクションボタンを押し、モード切り替え画面が表示されたら、カメラを傾けて目的の撮影モードに垂直ゲージを合わせるのだ。このアクションボタンは、再生画像の送りや液晶モニターのアウトドア表示(晴天下でも見やすい明るさになる)切り替えなどにおいても利用できる。

ダイヤル類が存在しないボディ

アクションボタンを押しながらカメラを傾けて、撮影モードを選択

メニュー画面から十字キーで撮影モードを選ぶこともできる

液晶モニターを晴天下でも見やすい明るさにする「アウトドア表示」

特定のボタンを機能しないようにロックする「操作ボタンロック」機能

かなり斬新なインタフェースなので、少々(気持ち的な)慣れが必要かもしれない。だが、慣れるとこれが便利で、右手だけでできる操作が格段に広がる。カメラのストラップを首にしっかりとかけ、そのストラップのテンションでカメラを支えて、アクションボタンを使うのだ。海山を問わず、荷物を持っていたり、岩や木の枝を掴んでいたりと、アウトドアでは片手が塞がっていることも多い。そんなときに重宝する。雨や雪の日、傘を差しながらでも操作、撮影できる。

「オート」で撮影。シャッターを押すだけで十分キレイに撮れる(原寸大画像を見る)

なお、インタフェースについて、シャッター優先オート・絞り優先オート時に、シャッター速度や絞りをどこで変えるのかがまったくわからないのには少々困った。まさか、画像拡大・縮小ボタンで変わるとは……。せめてボタン付近にそれらしいマーキングがあるか、もしくは画面にヒントが表示されれば、と思う。マニュアルを読めば済む話、といえばそれまでだが。

「クリエイティブ」モードの「絞り優先」(原寸大画像を見る)

「クリエイティブ」モードの「逆光」。レンズの逆光耐性も素晴らしい(原寸大画像を見る)

明度差の大きい風景もきわめて自然に再現する(原寸大画像を見る)

レンズの歪みも良好に補正されている(原寸大画像を見る)

ただ、シャッター優先オートや絞り優先オート、プログラムオートなどをソフトフォーカスやミニチュアフィルターと同列に「クリエイティブモード」として格納していることから、「このへんって、普段はあまり使いませんよね」というニコンのメッセージは受け取れる。サッと取り出してオートで手軽に撮るのが、Nikon 1のメインの使い方なのだろう。

自動歪み補正は陸上用と水中用を用意

暗所では描写が弱冠甘めだろうか(原寸大画像を見る)

ハイブリッドAF(位相差AF/コントラストAF)の精度も高い(原寸大画像を見る)

「ライブコントロール」の「背景ぼかし」(原寸大画像を見る)

ピクチャーコントロール「モノクローム」(原寸大画像を見る)

「クリエイティブ」モードの「セレクトカラー」。(原寸大画像を見る)

「クリエイティブ」モードの「かんたんパノラマ」。水中や水上で使っても面白そう(原寸大画像を見る)