説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『なぜiPhoneの価格は「199ドル」のようにキリが悪い数なのですか?』という質問に答えます。

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2007年の発売以来、米国におけるiPhoneの本体価格は199ドルや299ドルといった「大台マイナス1ドル」に設定されています。iPhone 5も、16GBモデルが199ドル、32GBモデルが299ドル、64GBモデルが399ドルと、そのパターンを踏襲しています。

このような「大台マイナス1ドル」という値付けは、心理的な効果を考えてのことと考えられます。わずか1ドルの違いですが、3桁台の100ドルより2桁台に属す99ドルのほうが、割安感を感じる人が多いことを狙ったのでしょう。日本の家電販売店でも「9,800円」や「5万9,800円」という値札をよく見かけますが、これと同じことです。

もっとも、「大台マイナス1ドル」という値付けは米国限定で、しかも携帯電話会社との契約がセットになっています。SIMロックフリーのiPhone 5は、米国のApple Storeでは16GBモデルが649ドル、32GBモデルが749ドル、64GBモデルが849ドルと、「大台マイナス1ドル」のパターンは見られません。SIMロックフリーモデルを選ぶようなパワーユーザに心理的な効果を優先した値付けは効果が薄い、と判断したのでしょう。

調査会社IHS iSuppliによれば、iPhone 5の原価は16GBモデルが199ドル、32GBモデルが209ドル、64GBモデルが230ドルだそうです。16GBモデルの原価は167ドルとする報道もありましたが、いずれにせよデバイス単体で見た場合の利幅は薄いといえます。容量に応じて100ドル刻みで定価を揃えるという方針は、やはり"見た目のインパクト"を重視してのことなのではないでしょうか。

写真で解説

iPhoneは2008年の発売開始以来、199ドルや299ドルといった「大台マイナス1ドル」のパターンで値付けされています