iPhone 3G

筆者がスマートフォンを初めて手にしたのは、2006年、ボーダフォンを買収して発足したソフトバンクにナンバーポータビリティ制度で乗り換えた際に手に入れたHTCのWindows Mobile端末だった。翌年米国でiPhoneが登場し、2008年にソフトバンクがiPhone 3Gを発売して以来、iPhoneをメインのケータイとして使い続けている。

現在のスマートフォン市場は、Androidによる支配が続く。IDCによると、米国での2013年第2四半期のシェアはAndroidが8割に届きそうな勢いだ。一方iPhoneは13.2%にまで低下している。米国カリフォルニア州で生活していると、特にSamsung製のAndroid端末がとても目立つ。シリコンバレーで働くあるソフトウエアエンジニアに話を聞くと、長年iPhoneを使い続けていたため、「少しiPhoneに飽きた」という声も聞かれる。iPhoneの変化の遅さから、画面サイズや性能の向上のサイクルが早いAndroidに魅力を感じているという。

一方の日本では、世界のトレンドとは違い、iPhone販売のシェアが携帯電話全体で28.2%、スマートフォンのみではおよそ4割と圧倒的だ

世界中でどんな端末が売れるかに関して共通しているのは、機能もさることながら販売手法や価格の影響が大きい。日本の数字をみると、販売手法とともに、日本人が手に取りやすいスマートフォンとして人気を集めていることがわかる。

筆者も同様だが、iPhoneに対する支持の理由として、デザインと安心感の2点は共通することではないだろうか。

ガラスや金属というプラスティックではない素材を使い、見たり触ったりすると心地の良いデザイン。そしてむやみなサイズ拡大を行わず、iPhone登場当初からの「新しい電話」としての姿と使用感、握り心地を保っている。また、説明書がなくても使い始めることができ、自然にその活用が充実していく点も魅力だ。これは特にテクノロジーに親しんでいない筆者の親世代が、インターネットやアプリ、クラウドの世界に自然に踏み込んでいく様子に現れており、常々驚かされる。

スマートフォンは既に生活を変えてくれるデバイスから、生活になくてはならないデバイスへと変わりつつある。2000年代に発達した日本のケータイを使ってきた筆者にとって、技術やライフスタイル、文化面でスマートフォンは早くから非常に重要なものになった。日本特有のワンセグやおサイフケータイに対応していなくても、iPhoneが日本でトップの座を獲得している点は、非常に面白い現象だと思う。