説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「なぜiPhoneにワンセグが搭載されないの?」という質問に答えます。
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日本向けに販売されているAndroid端末の多くが、「ワンセグ」の視聴機能を装備しています。最近では、より高画質な「フルセグ」に対応する端末も増えてきました。バッテリー消費量は少なくありませんが、移動中でもリアルタイムの放送波を楽しめるところがメリットです。
しかし、iPhoneはフルセグどころかワンセグの視聴さえ対応していません。ビデオレコーダーの転送機能を利用すれば、「DiXiM Digital TV」や「Twonky Beam」などDLNA/DTCP-IP対応の視聴アプリを使いテレビ放送を楽しむことは可能ですが、自宅のLANに接続しているときにかぎられます。iPhoneにはテレビの受像機(チューナー)が搭載されていませんから、放送波を直接受信することはできません。
今後iPhoneにテレビチューナーが搭載されるかどうかでいえば、可能性はかなり低いといえます。その理由は、デジタルテレビ放送の規格はいくつかあり、世界の国/地域により異なるため、1つの規格に絞り込むことが難しいからです。たとえば、日本の地上デジタル放送は「ISDB-T」という方式ですが、欧州では「DVB-T2」、アメリカでは「ATSC」です。
Appleが売り出す製品/サービスは、世界共通モデル(グローバルモデル)であることがほとんどで、iPhoneも例外ではありません。iPhone 5にはモバイル回線の通信方式の違いにより2つのモデルが存在しますが、通信回線は端末の生命線でありiPhoneに必要不可欠なことを考えると、例外的な措置をとったのでしょう。テレビ視聴機能にはそこまでの必然性があると思えませんし、ワンセグが放送されているのは日本だけです。iPhone単独でのワンセグ対応は今後も期待薄、と考えざるをえません。