説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iPhone 5のボディの質感はどうやって実現しているの?」という質問に答えます。

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iPhone 5の側面と背面の大部分は、アルミニウム合金で覆われています。しかし、アルミサッシなど私たちがふだん目にするアルミ製品に比べると、その質感はだいぶ異なります。iPhone 5のアルミ合金には「陽極酸化処理(アルマイト加工)」が施されており、それが独特の質感を生み出しているのです。

アルミニウムという金属は、自然の状態でも薄い酸化皮膜に覆われています。そのため耐食性が高く(周囲の物質と化学反応を起こしにくい)、安定した銀白色を保つことができます。その耐食性を高め、より硬度や耐摩耗性を得るために、皮膜を人工的に厚くするアルマイト加工が施されているのです。質感向上のためだけではありません。

一般的にアルマイト加工は、硫酸など強酸性の電解槽に加工対象の金属を浸し、そこに電流を流して金属の表面を酸化させることで皮膜を形成します。水(H2O)を電気分解すると、陽極(+)から酸素(O)、陰極(-)から水素(H)が発生しますが、その酸素(O)とアルミニウム(Al)が化学反応を起こし酸化アルミニウムの膜を形成することが、アルマイト加工の基本原理です。

こうしてできた酸化皮膜は、金属の素地と結合しているため剥がれにくい特性を持ちますが、無数にできた細かい「孔」を塞がなければ耐食効果を得られません。iPhone 5のブラックとホワイトのボディカラーは、デザイン上の理由もあるでしょうが、「染料で孔を塞ぐ」という理由もあるのです。

ただし、アルマイト加工で得られる皮膜は、マイクロメートル単位というごく薄いものです。それでも十分な硬度がありますから、擦りキズはつきにくいものの、鉄などアルミより硬い物質とぶつけたり擦ったりすると、その薄い皮膜は削り取られてしまいます。

写真で解説

iPhone 5のアルミボディに施された「アルマイト加工」が、独特の風合いと耐摩耗性を生み出しています