センサーは、1/3.91型Exmor CMOSセンサーを2基搭載。画素数は1基あたり543万画素で、これを併用することで、動画は2D、3DともにフルHD(1,920×1080ドット)、静止画は2,040万画素相当(6,016×3,384ドット)の記録が可能。もちろん、映像エンジン「BIONZ(ビオンズ)」も2基搭載されている。しかしながら、形状的にもレンズやセンサーの仕様が限られており、記録される画質が相応のレベルなのはやむを得まい。前述のように記録はあくまで付帯機能なのだ。

ただし、ライブ映像では画質が気になるようなことはなく、3D映像の没入感は別格だ。これには、3Dテレビなどと違って目的の映像しか目に入らないことに加え、ビューファインダーの良さも寄与している。DEV-3のビューファインダーは液晶だったが、DEV-50Vでは待望の有機ELが採用された。その恩恵は非常に大きいといえるだろう。このクリアで描画の速いビューファインダーのおかげで、2Dでも十分な臨場感を得ることができる。余談だが、ビューファインダーを2D表示にした方が本体消費電力がわずかに低い。

たとえファインダーは3D表示のままとしても、モードは2D動画撮影モードにセットしておくのがオススメ。というのも、デジタルズームが使えるからだ。双眼鏡という性質上、やはり少しでも焦点距離(倍率)を稼ぎたいところ。デジタルズームは記録画像としては物足りない画質(あくまで付帯機能!)でありながら、ライブビュー映像では不思議と気にならない。むしろ、より大きく見えることが実に楽しいのである。あえて個人的な意見を述べるなら、双眼鏡にとって倍率の重要性は3Dであることの比ではないと思う。

ワイド端で撮影した静止画像。ワイド端の倍率が1倍より小さい超広角仕様なのが、双眼鏡というよりカメラ的だ(原寸大画像を見る)

光学ズームテレ端で撮影。787の機体マーキングがはっきり読める(原寸大画像を見る)

デジタルズーム(5.5倍)を使った最大望遠。記録されるのはご覧のとおり残念画質だが、ライブビュー映像ではここまで気にならない(原寸大画像を見る)

AF性能は実用レベルで、全く問題なし。試用するために上空を通過する航空機を見に行ったが、目的物をよく追尾してくれるうえにズームも手軽、手ぶれ補正もグリグリと効いてくれるとあって、双眼鏡がデジタルであることのアドバンテージを十分に味わうことができた。防塵・防滴仕様なので、これからの季節は屋外での使用に心強いのもポイントだ。

約2時間、静止画と動画の撮影を織り交ぜつつ、電源はほぼオンの状態だったにも関わらず、バッテリーの不安は特になし。同社のハンディカム同様、メディアの可能記録時間やバッテリー残量の目安が時間で表示されるので、ヒヤヒヤしながら使用せずに済むのが嬉しい。予備バッテリーをひとつポケットに入れていけば、さらに安心だ。

対岸の着陸シーンもバッチリ見ることができた。左の画像は光学ズーム端、右側の画像はデジタルズーム(2倍)で撮影(左の原寸大画像を見る右の原寸大画像を見る)

着陸態勢に入ったJAL機。ギアをダウンしてエレベーターを下げた状態。光学ズーム端で撮影(原寸大画像を見る)

頭上を通過するANA機を光学ズーム端から少しだけ引いて撮影。コントラストの低下と色収差が見える(原寸大画像を見る)

デジタル双眼鏡は、バッテリーが切れた時点で、覗くことすらできないただのお荷物になってしまう。コンパクトになったとはいえ、このサイズの(動かない)電子機器を持ち歩くのは相当にやるせない気分だろう。そうならないためにも、バッテリーの予備と充電状態を常に気にかけて運用することが、DEV-50Vを運用するうえでの最大の秘訣といえそうだ。光学双眼鏡が逆立ちしても味わえない楽しさと利便性、そして驚きをぜひ味わっていただきたい。

露出をマニュアルで調整することもできる。このように、意図的に露出を上げてハイキーな写真にすることも可能(原寸大画像を見る)

新機能「ゲインアップ」(超高感度)を使用して撮影。暗めの部分は、実際は(肉眼では)ほぼ見えない(原寸大画像を見る)

デジタルズームで月を撮影。露出はマニュアルでアンダー方向に調整した(原寸大画像を見る)

サンプル動画。2D映像ではあるが、AFの精度や手ぶれ補正の効き方、ズーム速度など参考になるだろう

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