V832/28HSだけが持つ高精細液晶の強みを語るなら、発色の美しさもはずせないポイントだ。V632/26HSは斜めから見ると画面の発色やコントラストに変化が発生したが、V832/28HSでは視野角の影響は実に少ない。V632/26HSと同様に、出荷前に一台一台キャリブレーションが施されているため、自然な発色を楽しめる。文字やUIと違って画像はドットバイドットで表示されるためデジカメ写真には最適。13.3型とは思えぬ広い範囲を編集できるのも強みだ。

発色は濃いものから薄いものまでしっかり表現されている。左側のグレーっぽい部分はタオルの上に文字を重ねたものだが、タオルの質感もしっかり確認できる

このあたりの角度まで移動すると色味は白っぽくなる。詳細は非公開だが、IPS方式だと黒く沈むので、筆者はVA系のパネルと推測する

さて、今回もエックスライト社のキャリブレータ「i1 Display Pro」を使って工場出荷状態の"味付け"や色域をチェックしてみよう。i1 Display Proで生成したカラープロファイルをガマットに変換する作業は、OS X 10.8.3に標準搭載されている「ColorSyncユーティリティ」を利用。比較用として、先に検証したV632/26HSの結果も用意している。

明暗や発色の傾向を見るためのガンマカーブ。左がV832/28HS、右がV632/26HS。V832/28HSの明るい部分は若干青が強めのようだ

色域の比較。V832/28HS(左)とV632/26HS(右)の能力差は一目瞭然。V832/28HSはsRGBの範囲(グレーの部分)をほぼカバーできている

キャリブレーションに使用した「i1 Display Pro」

ガンマカーブの"素直さ"は両者同レベルだが、色域はV832/28HSがはるかに優れている。テスト機のみの傾向かもしれないが、ベタ色を表示させた際に、液晶の下側に輝度ムラのようなものが見られた。薄型軽量の13.3型Ultrabookとしては非常に優れた液晶を備えているが、さすがにプロフェッショナルレベルというと褒めすぎになる。「個人ユーザーが写真や動画を気分よく閲覧・編集するには最強」と認識するのがいいだろう。

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