東芝 デジタルプロダクツ&サービス社 商品統括部 コンシューマPC商品部 グループ長・竹之内宏樹氏

「KIRAというサブブランドには、サンスクリット語の『光線』『ビーム』という意味のほかに、日本語の『綺羅』が持つ『きらびやかな』『美しい衣装』というような意味を持たせた。これまでにない高い品位を感じさせるとともに、新たなPCのカテゴリに光を当てるという狙いも含めた」と、東芝 デジタルプロダクツ&サービス社 商品統括部 コンシューマPC商品部 グループ長・竹之内宏樹氏は説明する。

その象徴ともいえるのが、KIRAシリーズで採用した新たなデザインだ。

薄さと強度を兼ね備えるマグネシウムを使用したきょう体は、その素材感を際立たせることで高い質感を実現。鋳造加工により、底面から側面部までを一体化することで、堅牢性を強化しながら、継ぎ目のない、美しさも実現している。そして、ハチの巣状のリブを立てることでねじれに強くなる「ハニカムリブ構造」や、ボディ剛性を高める「バスタブ構造」を採用することで、デザイン性と堅牢性を両立することに成功している。

また、くさび型のデザインは全体的に丸みを帯びており、使用時にディスプレイを開いた際、手前と奥側では角のアールの曲り具合が大きく異なる独特の形状としている。

丸みを帯びたくさび形の横姿

内部のハニカムリブ構造

かつてないレベルで完成度を追求

東芝 デザインセンター情報機器デザイン担当 参事・杉山宏樹氏

東芝 デザインセンター情報機器デザイン担当 参事・杉山宏樹氏は、「PCそのものの作りの良さを表現するには、まずは外観に上質さや堅牢性を感じられることが重要な要素」としながら、「丸みを帯びた形状は持ち運んだ際に、モバイルPCとして人の手に馴染む心地よさを表現したもの。そして、手前側のアールが小さいのは、ディスプレイスペースを最大限に活用するための工夫」とする。

V832およびV632では、よりコンパクトなきょう体にし、横から見たフォルムをシャープに、そしてスタイリッシュにするための工夫として、従来の13.3型液晶ディスプレイ搭載モデルに比べて、奥行きを約20mmも縮めている。それだけのコンパクトさを実現しながら、13.3型の液晶ディスプレイを搭載する最適なデザインが、この形状だったともいえる。

そして、杉山氏がもうひとつこだわったのが、ユーザーにとって意味のない線を残さないという点だ。「部品の組み合わせや、製造上の問題といった作り手側の事情で表れる線がある。これを極力排していくということにもこだわった」(杉山氏)。

底面のメモリスロット用のカバーによって生まれる線、キーボードと本体の部品を切り分ける線などがそれだ。KIRAシリーズには、dynabook初となるフレームレスキーボードを採用し、底面にもカバーは取り付けず、ネジ穴もシンメトリーに配置するといった隠れたこだわりがあるのだ。

そして、なんといっても驚きは、「製品として仕上がったKIRAシリーズは、最初のデザインモックアップの造りに限りなく近い」(杉山氏)という点だ。設計陣も妥協せず、ディテールの完成度をこれまでに例がないほどのレベルで追求したという。

底面にまで美しさを追求

起動時に「KIRA」のロゴが現れる

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