プライベートネットワーク(Private Network)

我々には直感的に理解できない単語が用いられることが多いコンピューターの世界。新たに登場するWindows 8を踏まえつつ、Windows OSで用いられる単語(=キーワード)を個別にピックアップし、詳細な解説をお送りする。今回取り上げるキーワードは、ネットワーク状態や範囲を示す「プライベートネットワーク」だ。



Windows 8キーワード一覧

「ピン留め」「ジャンプリスト」とは
「デスクトップ」とは
「タスクバー」とは
「エクスプローラー」とは
「Windowsストアアプリ(Windows Store app)」「デスクトップアプリ(Desktop app)」とは
「チャーム(Charm)」とは
「スタート画面(Start Screen)」とは
「タイル/ライブタイル(Tile/Live Tile)」とは
「アプリバー(App Bar)/ナビゲーションバー(Navigation Bar)」とは
「レジストリ」とは

「プライベートネットワーク(Private Network)」

Windows 8においては、ネットワークの可動範囲や安全性を踏まえたネットワークの状態を指す呼称。対になる呼称として「パブリックネットワーク」がある。本来のプライベートネットワークはRFC(Request for Comments:IETFによるインターネットの技術仕様公開形式)1918およびRFC 4139に準拠した特定のIPアドレス空間を使用したネットワークを指す単語だが、Windows Vistaから導入されたプライベートネットワークはその限りではない(図01)。

図01 使用中のネットワークがプライベート/パブリックのどちらに割り振られているかは、「ネットワークと共有センター」で確認できる

Windows Vistaから取り入れられた仕組みだが、同様のカーネルを採用したWindows 7では、「ホームネットワーク」「社内ネットワーク」というネットワークプレース(場所)が用いられていた。両者はホームグループ使用の有無やファイアウォールのポリシーが異なるなど相違点があったものの、Windows 8はこれらの呼称を基本的に使用していない(ダイアログのメッセージは、一部Windows 7のままになっている箇所が残っていた)。

この他にもWindowsドメインに参加している場合は「ドメインネットワーク」や、デフォルトゲートウェイの識別に異常を来した場合は「識別されていないネットワーク」という呼称が割り当てられ、パブリックネットワークとして扱われる。不特定多数が使用する無線スポットなどに接続する際は、パブリックネットワークを使用するのが安全だ。

なお、何らかの理由で既存のネットワーク接続がパブリックネットワークになってしまう場合は、DHCPサーバーからのIPアドレス割り当てが正しく行われていない可能性が高いため、ネットワークアダプターに割り当てられたIPアドレスの更新を試すとよい。また、仮想化ソフトウェアの仮想ネットワークアダプターは「識別されていないネットワーク」に割り振られるのが一般的だが、一部のネットワークツールでは、これが原因で意図する動作を得られないことがある。その際は「ローカルセキュリティポリシー」で設定変更するとよい(図02~03)。

図02 「ローカルセキュリティポリシー」でネットワークのプロパティを編集できる

図03 「識別されていないネットワーク」を「プライベートネットワーク」として使用することも可能

阿久津良和(Cactus