米国で"フリーミアム"(Freemium)なビジネスモデルを採用した4Gモバイルブロードバンド接続サービス「FreedomPop」が10月1日(現地時間)、ベータ版の状態でスタートした。1カ月あたり500MBのデータ通信が無料で使え、USBモデムやホットスポットといった機器でさえ無料というこのサービス、どういった仕組みで成り立っているのだろうか?

FreedomPopのサイトの説明によれば、WiMAXやLTEなど、いわゆる4Gのモバイルブロード接続をユーザーあたり毎月500MBの範囲で無料で利用できるサービスとある。あらゆるデバイスがモバイルブロードバンド接続可能で、特にiPodと旧型iPhone (4/4S)用には専用スリーブが提供され、本来携帯ネットワーク接続ができないiPodでさえ4Gネットワークが利用できるようになるという。

ビジネスモデルを含めた仕組みはGigaOMの記事に詳しい。FreedomPopはSprint-Nextelのネットワークを間借りするMVNO (Mobile Virtual Network Operator)で、これにさらにClearwireのWiMAXネットワークもMVNOとして利用することでサービスを構築している。FreedomPopの提供するUSBモデムやホットスポット、専用スリーブにはCDMA-LTE-WiMAXの3モードに対応したモデムが内蔵されており、適時これらネットワークを利用可能だという。ちょうどWiMAX部分をClearwire、CDMA-LTE部分をSprintから借用する形となる。FreedomPopによれば、ネットワークの利用容量には特に利用制限を設けておらず、前述の500MBといった指定容量内の範囲であれば、1日あたりの使用容量が多くても通信速度が4Gから落ちたり、あるいは容量キャップが設定されることはないという。

だがFreedomPopで最も面白いのはビジネスモデルの部分だ。1ユーザーあたり500MBまで無料でデータ通信が提供され、さらにUSBモデムといったサービス利用に必要な通信機器でさえ50~90ドルのデポジットさえ収めれば無料で利用できる(デポジットは機器返却後に返金される)。どこで稼いでいるのかといえば、有料でVoIP通信や"Turbo Boost"、さらなるデータ通信容量追加といったオプションを購入することでユーザーから直接得られる収入のほか、ユーザーがサービス利用時にFreedomPopが提供するSNSサービスへの登録が求められ、ここでの活動が間接的に同社の資金獲得源となっている。SNSではアンケートがあり、これに答えることでわずかながら無料データ通信容量が追加されるといった特典がある。また500MBの無料通信容量はユーザー間でのやり取りが可能なほか、新規ユーザーの獲得を仲介することでアフィリエイトとして無料容量が追加されたりと、SNS内で一種の仮想マネーとして機能する。こうしたコミュニティの活動を通じて、前述アンケートを依頼する企業から収入を得たり、あるいは広告プラットフォームとしての活用などがビジネスモデルの中核となる。

またほかに興味深い点として、FreedomPopの主な出資者の1人がSkype創業者の1人であるNiklas Zennstrom氏だという点が挙げられる。いずれにせよ、今年2012年後半~2013年にかけて最も注目のベンチャー企業とそのサービスであることは間違いない。iPhone 4/4SとiPod用の専用スリーブは現在数量限定で事前注文を受け付けており、興味ある方は同社サイトをチェックしてみるといいだろう。

(記事提供: AndroWire編集部)