NECは1日、報道関係者向けの技術説明会「Tech Day」を開催。重量約875gの世界最軽量を実現した同社のUltrabook「LaVie Z」の商品企画担当者や開発担当者が、「LaVie Z」に採用した技術や開発に当たってのエピソードを紹介した。

イノベーションこそがNECの原点

NECパーソナルコンピュータ 商品開発・商品企画担当執行役員 小野寺忠司氏

はじめに登壇したNECパーソナルコンピュータ 商品開発・商品企画担当執行役員 小野寺忠司氏は、「昨年、レノボとの合併を発表した際に、これまでの『安心・簡単・快適』をコンセプトにした商品開発を継続する一方で、新しいイノベーションを起こす製品を投入すると宣言した。『LaVie Z』はレノボとのシナジーを最大限に生かした第1弾の製品」と「LaVie Z」を紹介。

「LaVie Z」は2012年6月にNECが発表したUltrabook。重量が約875gと13.3型ディスプレイを搭載したノートPCとしては世界最軽量のPC。製品についての詳細は発表時のニュース記事および、レビュー記事を参照いただきたい。

「NECに期待されていることはイノベーションだと思っている。イノベーションあってのNEC。その原点に立ち返って、世界から注目を集める製品を何が何でも出すという強い思いで商品開発をした。今回、さまざまな人から『NECの底力を見た』というコメントをもらったが、常にこういうことをいってもらえるような商品をだしていきたい」と述べた。

合併後の方針

イノベーションが原点

ユーザーが最も求める「軽さ」にフォーカス

NECパーソナルコンピュータ コンシューマPC商品企画本部 中井裕介氏

「LaVie Z」の商品企画を担当したNECパーソナルコンピュータ コンシューマPC商品企画本部 中井裕介氏が、商品企画のコンセプトと開発にいたった背景について説明した。

「LaVie Z」は13.3型ディスプレイ搭載モデルながら、約875gの軽さが大きな特長だが、軽さにフォーカスするにいたった背景として、中井氏は「ユーザーのニーズ」を挙げる。 同社の調べでは、モバイルPCの購入者は「バッテリー」や「画面サイズ」などよりも、「軽さ」を最も重要視しているという。そうした軽量へのニーズが高い一方で、「本体の薄さ」がトレンドとなり、薄型のノートPCが市場に出回るようになっている。

製品開発の背景

中井氏は「実際に薄型の製品を触ってみると、見た目の薄さに対して重くてがっかりした」という不満があった。そこで「薄さ」に妥協することなく、ユーザーが最も求めている「軽さ」にフォーカスして世界No.1の製品を作ろうと考えたという。

「LaVie Z」は3つの理由から800g台を目標に商品企画や開発が進められた。

開発当初から900g以下を目標に開発が進められた

1つ目はタブレットPCの存在だ。タブレットPCは持ち運びや情報の閲覧には便利だが、Bluetoothキーボードなど入力デバイスを一緒に持ち歩くユーザーも多い。タブレットPCをターゲットにしたBluetoothキーボードも増えてきた。タブレットPCとキーボードを一緒に持つとおよそ800g台になる。

2つ目は、同社が2010年に発表した、ビジネス向け12.1型ノートPC「VersaPro UltraLite タイプVC」も重量868gと、すでに800g台の製品を出していたが、普段からノートPCを持ち運ぶようなモバイルPCのヘビーユーザーに受け入れられる重量は800g台だと考えたという。

3つ目の理由は、2011年時点で13.3型では1.1kg~1.4kg程度、11.6型で1.1kg前後の製品が市場に出ていたため、2012年には他社からも1kgを切る製品が出ると予想。他社の追随を許さないダントツのNo.1を実現し、ユーザーが驚くような製品を出すために800g台を目指して開発を行うことになった。

開発途中では本体サイズを13.3型ではなく、11型することで軽くするという選択もあったが、技術陣から「13.3型で軽くすればいい」といわれたという。

「通常は商品企画側が無茶をいって、技術側がたしなめるというケースが多かったが、『LaVie Z』のケースでは、技術側からぐいぐい引っ張ってもらった」と中井氏は話す。

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