30周年を迎えたMicrosoftハードウェア

Microsoftと言えば、Windowsシリーズに代表されるOSやOfficeスイートを思い浮かべがちだが、マウスやキーボードといったハードウェアにも注力しているのをご存じだろうか。同社は1975年に設立しているが、MS-DOSが同社の主力製品だった1982年にハードウェアグループを設置。翌年には同社謹製の「Microsoft Mouse」をリリースしている(図06)。

図06 1983年にリリースされた「Microsoft Mouse」。当時はシリアルポートに接続していた(画像は公式ブログより)

もちろんマウスは同社のオリジナルではない。Douglas Engelbart(ダグラス・エンゲルバート)のアイディアを発表した1961年までさかのぼり、初めてマウス付きコンピューターが世に公開されたのは、Xerox(ゼロックス)のAlto(アルト)。これが1974年の話。商業的には1983年にリリースされたAppleのLisa(リサ)が初めてではないだろうか。

ちょうど今年の2012年はハードウェアグループが30周年を迎えたことになる。筆者も正直意識していなかったが、このことを公式ブログに投稿したのが、MicrosoftのCommunications ManagerであるBrandon LeBlanc(ブランドン・ルブラン)氏。前述のMicrosoft Mouseがリリースされた年に生まれた同氏は、自身のコレクションを公開し、特にアークタッチマウスに収集に力を入れているという(図07)。

図07 LeBlanc氏のマウスコレクション。大半のアークタッチマウスを保有しているという(画像は公式ブログより)

実のところ筆者も優先的にMicrosoft製マウスを選択していた時期がある。現在は他社製マウス一辺倒だが、90年代後半から2000年前半は日本のマイクロソフトもコンピューター周辺機器に力を入れており、当時のMicrosoft製マウスは質実剛健と言える出来だった。残念ながらこの十年ほどは疎遠になってしまったが、今でも新製品が発表されると店頭で触れてしまうこともしばしば。

ノート型コンピューターにおけるタッチパッドやポインティングスティックのように、ポインティングデバイスは多様化し、そしてWindows 8におけるマルチタッチによって入力システムは、これまで以上に多様化していく。そのため、マウスの優位性は引き下がることになってしまうが、あと7カ月で訪れる2013年は、商品としてのマウスが世に登場して30年目にあたる。あらためてマウスというポインティングデバイスの価値を考え直すよいタイミングだろう。

阿久津良和(Cactus)