エプソンは5月15日、ドキュメントスキャナの新製品として、A4シートフィーダスキャナとA4モバイルスキャナ、および業務向けのA3対応/A4対応と、合計8モデルを発表。同日には記者発表会も行われ、スキャナ市場に対する戦略や新モデルの説明、販売施策が語られた。

新モデルの概要については、以下の別記事を参照いただきたい。

エプソン、クラウド連携にも対応したバー型の小型軽量A4モバイルスキャナ
エプソン、高速スキャンと容量75枚のADFを備えたA4シートフィードスキャナ
エプソン、業務向けの高速・高耐久フラットベッドスキャナを6モデル

DS-30

ES-D350

DS-70000/DS-60000

DS-50000

DS-7500
(オプションのネットワークパネル装着)

DS-6500

DS-5500

フォトでもドキュメントでもスキャナはエプソン

エプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野修義氏

エプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野修義氏は、スキャナ市場の概略とエプソンのスキャナ戦略を説明。エプソンはインクジェットプリンタ/複合機、プロジェクタでは高いシェアを持ち、2011年11月に新しいラインナップがそろったレーザープリンタも好調に推移しているという。しかしスキャナは全体で22%のシェアと、いまひとつ振るわない(フラットベッド型では約50%のシェアを持つものの、シートフィード型では2%であり、トータルで22%)。

この数字を逆にとらえ、「だからこそ、スキャナのシェアを30%、40%と伸ばしていくのは、それほど難しくない」(中野氏)と自信を見せた。

スキャナ市場の概況については、複合機に押されて下火になっていたが、2009年から成長に転じている。これには3つの要因を挙げ、第一には個人所有の本をデジタル化する"自炊ブーム"、第二には企業におけるペーパー文書の電子化と業務のデータエントリー需要、第三には写真愛好家による古いプリント写真/フィルムのデジタル化(フォトスキャナ)とした。

スキャナ市場は成長

成長の要因

スキャナ市場におけるエプソンのシェア

こうした分析をもとに、「3つの領域、マーケットで新モデルを提案し、スキャナ市場におけるエプソンの出遅れを一気に挽回したい」(中野氏)という。

今回の新モデルが想定する3つのユーザー領域

具体的には、以下の3領域だ。

(1)クラウド&携帯端末でスキャンデータを活用するユーザー
(2)紙文書をデータエントリーする業務を持つ法人
(3)写真(フィルム)をデジタル化する写真愛好家

上記の(1)では、A4モバイルスキャナ「DS-30」とA4シートフィードスキャナ「ES-D350」、(2)では業務向けフラットベッドモデルの「DS-70000」(A3対応)や「DS-7500」(A4対応)が主力を担う。(3)のフォトスキャナは、既存のフィルム対応A4フラットベッドモデル「GT」シリーズが引き続き主力だ。最後に中野氏は「今後はフォトでもドキュメントでもスキャナはエプソン、と言われるようにがんばっていく」と締めくくった。

ドキュメントスキャンをより便利に

続いて、セイコーエプソン SCN事業推進部 部長の田中雄次氏が今回の新モデル群を紹介。

セイコーエプソン SCN事業推進部 部長の田中雄次氏

スキャナ製品の新しいラインナップ

エプソン初となるA4モバイルスキャナ「DS-30」については、場所を選ばずスキャンしたい、持ち歩きたい、手軽にスキャンデータを活用したいという要件に対して、それを満たすために軽量/コンパクト、サッと使える、便利に使えるというポイントを挙げる。想定ユーザー層は、情報感度が高いライフハッカー、外出/出張が多いビジネスパーソン、IT主婦(リビングなどで"紙"をデジタル化して処分)など。USBバスパワー動作なので使わないときは収納でき、専用ポーチが付属する「折りたたみ傘」のイメージだ。

DS-30

ES-D350

モバイルスキャナのユーザー層

DS-30のコンセプト

DS-30はクラス最軽量(2012年5月現在、エプソン調べ)

A4シートフィードスキャナの「ES-D350」は、従来モデル「ES-D200」の後継機となる。要望の多かった重送検知センサ(超音波方式)を搭載し、ミスなく確実にスキャン出来る点をアピール。想定ユーザー層は、ライフハッカー、オフィス、カウンター業務などだ。

シートフィードスキャナのユーザー層

ES-D350のコンセプト

300dpiのスキャン速度を向上

また、300dpiでのスキャンを高速化した点にも触れ、これは第3世代のiPadが採用したRetinaディスプレイによるスキャン環境の変化が大きいという。第3世代iPadのRetinaディスプレイは解像度が高いため、200dpiでスキャンしたものを表示するとあまり精細に見えない。このため、300dpiでのスキャンが増えており、300dpiスキャンを高速化することで生産性を向上させたという。

第3世代iPadの高解像度なRetinaディスプレイによって300dpiスキャンが増加中

新たに重送検知センサを搭載

DS-30とES-D350はクラウドサービスとも簡単に連携

DS-30とES-D350では、付属する新しいユーティリティソフト「Document Capture Pro」によって(今回の全モデルに付属)、EvernoteやGoogleドキュメントといったクラウドサービスへと、スキャンデータを簡単にアップロードできることも強調した。

業務向けのフラットベッドモデルは、A3/A4対応、ADFの有無、スキャン速度などの違いで6モデルを用意

オプションのネットワークインタフェースパネルにより、スキャナ側から様々な操作を実行できる

高度な処理を行える新ユーティリティ「Document Capture Pro」

スキャンデータの自動仕分けに対応

ジョブ登録とバッチ処理で定型業務の負荷を軽減

業務向けのフラットベッドモデルは、大容量ADFの生産性と信頼性の向上、ネットワーク対応、スキャンデータの自動仕分け(フォルダ分類など)がポイント。医療関係、金融/保険、官公庁/自治体といったユーザー層への導入を狙う。

「フォトスキャナの分野でいただいている信頼を、ドキュメントスキャナでも応えていきたいという想いがつまっている。その想いをさらなる形にするために、今後の開発と販売に取り組んでいく」(田中氏)

35%シェアに向けてアグレッシブにチャレンジ

エプソン販売 OP MD部 部長の鈴村文徳氏

最後に登壇したエプソン販売 OP MD部 部長の鈴村文徳氏からは、モデルの販売施策と販売目標の紹介があった。

まず、クラウドや情報端末を活用するユーザー向けには、WebとSNSを積極的に利用するという。エプソン販売のTwitter(@EpsonFan)や「エプソンスキャナー公式Facebook」(http://www.facebook.com/EpsonScanJp)などで、便利な使い方やコツ、ユーザーのユニークな使い方といったコンテンツを紹介し、有用な情報が集まる場とする。DS-30の発売記念キャンペーンも実施し、期間中にDS-30を購入してユーザーサイト「MyEPSON」に登録すると、抽選でさまざまな商品が当たる。

業務向けのフラットベッドモデルについては、Slerや開発者に対して技術情報、カスタマイズ情報をしっかりと提供し、テクニカルセミナーなども行っていくとした。

「今回の新モデルによってスキャナのラインナップが充実し、想定ユーザー層が広がった。多くのユーザーに提案できる製品がそろってきたので、すべてのお客様に対して、すべてのチャネルを通じて販売していく。目標としてはトータルのシェアで35%というアグレッシブな数字だが、常に高い目標を掲げてチャレンジする」(鈴村氏)

新モデルのプロモーション施策

TwitterやFacebookのコンテンツを充実

DS-30発売記念キャンペーン

エプソン販売が持つ販売チャネル

シェア目標と販売台数目標

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