Windows SBS 2011 Essentials、6つの特徴
それでは、Windows SBS 2011 Essentialsの主な特徴について見ていこう。
野中氏は、同製品の主な特徴として、以下の6点を挙げる。
- 簡単な導入・設定
- ID管理(Active Directory)
- ファイル共有とアクセス設定
- バックアップとリストア
- 社外からのデータアクセス
- クラウド連携機能
これらのうち、野中氏が特に強調したのが、1つ目の「簡単な導入・設定」である。
「ITに詳しくない担当者でも困らないよう、とにかくシンプルな画面にした」(野中氏)という「管理ダッシュボード」を新たにWindows SBS 2011 Essentials専用に開発。そこには、ユーザー管理、PC端末管理/バックアップ、共有ストレージ(ファイル共有サーバ)管理など、利用頻度の高いメニューのみが表示されている。
また、各メニューから実行できる機能も限定的である。例えば、ユーザー管理などは、ユーザーの追加や権限の設定など、本来のActive Directoryで可能な操作のうち必要最低限の設定だけを操作する仕様になっている。WindowsメニューからActive Directory管理ツールを起動すれば、通常のActive Directoryのメニュー画面からさまざまな設定が行えるが、管理ダッシュボードでは、「あえて"できること"を限定することでユーザーが困惑しないよう配慮している」(野中氏)。
また、PCのバックアップやリモートアクセスなど、ユーザーの利便性を高める機能も提供しているWindows SBS 2011 Essentialsでは、ユーザーも困惑することのないよう、「スタートパッド」と呼ばれるクライアント用ツールを提供している。こちらのメニューには、「バックアップ」、「リモートアクセス」、「共有フォルダ」、「ダッシュボード」と、Windows SBS 2011 Essentials向けの機能が集約されており、ネットワークからサーバの共有フォルダを探したり、サーバのパスを入力したりといった煩雑かつ複雑な操作を避けることができる。
ユーザー向けの操作画面「スタートパッド」。Windows SBS 2011 Essentialsからダウンロードして利用する |
Windows SBS 2011 Essentialsで何ができる?
上で挙げた6つの特徴のうち、2から5までは、先述の"必要最小限のSOHO・中小企業向け機能"である。これらはいずれも「大企業や中堅企業では当たり前のように導入されている機能」(野中氏)だが、予算も限られ、専任のIT管理者がいないSOHO・中小企業においては、欲しくても導入できなかったものばかりのはずだ。どのような機能なのか具体的に見ていこう。
まず、ID管理は、ユーザーを管理するための基本機能になる。こちらはそれ単体ではわかりづらいので、例として、さきほど特徴の3つ目に挙げた「ファイル共有とアクセス設定」を行うケースを考えてみよう。
Windows SBS 2011 Essentialsを導入すると、「例えば、管理職のみがアクセス可能な共有フォルダーを用意するというようなことも可能」(野中氏)になる(これが3つ目のファイル共有とアクセス設定の機能だ)。この場合、どの役職の社員ならアクセスを許すのかという判定を行う必要があるが、これを実現するために、各社員に対してIDとパスワードを割り振り、現在操作中のユーザーがだれなのかを認証するというのがID管理機能だ。
Windowsの世界でこの役割を担っているのが、先ほどから何度も登場している「Active Directory」である。Active Directoryは、ファイル共有のみならず、後述のリモートアクセスやバックアップなどを行う際にも、現在相手にしているユーザーがどの役職の社員なのかを特定するために利用されている。
4つ目のバックアップとリストアに関しては、フォルダーやドライブからPC全体まで、さまざまな単位のバックアップ機能が用意されている。開始時間を設定して自動でバックアップ処理を行うこともできるし、先に説明した「スタートパッド」からユーザーが手動で実行することも可能だ。PCに障害が発生した際には、「Windows SBS 2011 Essentialsにあらかじめ付属している起動/復元用CDや、Windows SBS 2011 Essentialsから作成できる起動用USBメモリを使って復旧できる」(野中氏)。もちろん、Windows SBS 2011 Essentials自体のバックアップを行う機能も提供されている。
そして、5つ目のリモートアクセスに関しては、外出先や自宅のPCから社内データなどにアクセスするための機能である。ブラウザを利用してWindows SBS 2011 Essentials内のデータにアクセスするリモートWebアクセスのみならず、「その先の社内ネットワーク上に接続されたPCで複雑な設定を行うことなくアクセスできるようになる」(野中氏)点はMicrosoft製品ならではの大きな特徴だ。このインターネットを通じて遠隔地から社内のPCを直接操作することができるリモートデスクトップ機能により、社内のPCにしかインストールされていないアプリケーションを外出先から直接起動するといったことも可能である。Windows SBS 2011 Essentialsの共有フォルダへのリモートからのアクセスは、基本的にはWebブラウザを経由してアクセスすることになるが、管理者がサーバーの状態を外部から確認できるWindows Phone向けの専用アプリケーションなども用意されており、移動中に社内データやサーバーの状態を確認することもできる。外部からアクセスする際に必要となるWebドメイン(URL)の取得も無償提供されており、追加コストを支払う必要がない点もSOHO・中小企業にとってはうれしいかぎりだ。