AFは、これまでと同じくコントラスト検出方式を採用。AFフレームは、選択ボタンと十字キーを使って画面内の好きな位置に動かせる。AFスピードは、コンパクトデジカメとして標準的なもの。暗所ではスピードが低下するが、明るいシーンでは大きなストレスなく合焦する。マニュアルフォーカスを選んだ場合は、部分の拡大表示を見ながら、背面のホイールを回してピント調整が行える。

注意点は、接写が不得手なこと。レンズの先端からの最短撮影距離はワイド端で20cm、テレ端で70cm。従来機のワイド端1cm、テレ端30cmに比べると大きく見劣りする。この点は、大型センサーを備えることを考慮すれば仕方ないのかもしれない。レンズ前面には、オプションのフィルターアダプターを介して径58mmのレンズフィルターを装着可能なので、接写用にはクローズアップレンズを用意するといいだろう。

撮影メニューでは、AFフレームやデジタルズーム、サーボAF、コンティニュアスAFなどを設定できる

シャッターボタンを押すと、アナログ風の心地よい電子シャッター音が鳴り、撮影が行われる。当然ながら一眼レフ機のようなミラー駆動による音や振動はない。電子音をオフにして、撮影時の作動音を最小限にすることも可能だ。

手ブレ補正はレンズシフト式を採用している。最近の同社のコンパクト機に共通した「マルチシーンIS」にも対応。流し撮りや接写、三脚使用といった撮影状況を自動的に判断して、シーンに応じた最適な補正が行える。試用では、ズームのワイド端で1/4秒程度、テレ端で1/15秒程度を手持ちでブラさずに撮影できた。

手ブレ補正の設定は、マルチシーンISが作動する「入」のほか、露光時のみ補正が機能する「撮影時」を選べる

液晶モニターは3型・約92.2万ドットのTFTを搭載。上下左右に可動するバリアングル式で、ローアングルやハイアングルからの撮影を無理な姿勢にならずに行える。液晶表示のコントラストは高めで、露出の判断はしにくいが、明るい屋外でもまずまずの視認性がある。

ファインダーは電子式ではなく、実像式の光学ファインダーを装備する。見える範囲と写る範囲のズレが大きいため、個人的には使用頻度は低いが、しっかりとカメラを支えて撮りたいケースでは役立つこともあるだろう。

左右に175度、上下に270度回転するバリアングル液晶を搭載。従来機から継承したメリットのひとつだ

液晶の上には光学式のビューファインダーを搭載。ファインダーを覗き、しっかりとカメラを支えて撮影できる