グーグル Android グローバルパートナーシップ ディレクターのジョン・ラーゲリン氏

グーグルは10月25日、報道関係者向けにモバイルOSの最新版「Android 4.0」(開発コード名:Ice Cream Sandwich)の説明会を開催した。説明会には、同社 Android グローバルパートナーシップ ディレクターのジョン・ラーゲリン氏が出席。先日発表されたAndroid端末「GALAXY Nexus」の実機を使用して、Android 4.0の特徴について解説した。

Android 4.0は、米Googleが10月19日(香港時間)に韓国Samsungと共同で開催したイベントで発表されたOSで、スマートフォン向けのAndroid 2.x系とタブレット向けのAndroid 3.x系のユーザーインターフェイスを統合したものとなっている。

機能面では、戻る/ホームスクリーン/メニューなどをGUI上に表示することで、ハードウェアボタンを実装しない端末でもタッチ操作で端末を制御することができる。このほか、顔認識を利用して画面ロックを解除する「フェイスアンロック」やNFC(Near Field Communications)を使った「Androidビーム」、ソーシャル連携機能の「People」などが利用可能。さらに、電話に出れない時に利用できるクイック返答機能やデータ通信の使用量を計測できる機能が追加されたほか、ウィジェットのサイズ変更が可能になったり、ホームスクリーンでのフォルダ機能が強化されたりと、操作性の向上が図られている。

またAndroid 4.0の公開にあわせて同OSを搭載した初のスマートフォン「GALAXY Nexus」も発表された。GALAXY Nexusは2011年11月中にアジア地域や米国、欧州で提供される予定で、日本ではNTTドコモが11月に販売するとアナウンスしている。

今回の説明会ではGALAXY Nexusの実機が用意され、同端末を利用してAndroid 4.0のデモンストレーションが行われた。ラーゲリン氏は最初にAndroidのこれまでの歩みについて説明。現在Androidは123カ国で展開されており、デバイス(端末)の種類も約410種類に上り、2011年10月の時点で累計1億9000万件以上のAndroid端末がネットワークに接続されたとしている。

Androidのこれまでの歩み。2011年10月時点で、2億近いAndroid端末が新規登録されている

続いて「ちょうど発売から3年たった」と初のAndroid端末「T-Mobile G1」を紹介。その後、同社の最新OSを搭載したリファレンス端末として、2010年1月に発売されたHTC製の「Nexus One」、2010年12月発売のSamsung製「Nexus S」を提供し、そして今回、Android 4.0搭載のGALAXY Nexusを提供すると説明した。

GALAXY NexusはグーグルのデザイナーとSamsungが共同で開発した製品とのことで、「端末上部をいかに薄くするか、側面のカーブをどのくらい曲げるか」などにこだわったとラーゲリン氏は説明。「日本で初めて提供される、純粋なグーグル仕様の最新型Android OSを搭載した」のがGALAXY Nexusとアピールする。

T-Mobile G1

Nexus One(左)とNexus S

GALAXY Nexus

Ice Cream Sandwichのキャラクターロゴ。「Simple, beautiful, beyoned smart.」がキャッチフレーズとのこと

GALAXY Nexusが搭載するAndroid 4.0について、ラーゲリン氏は「時間に余裕を持って仕上げたOS」とのことで、「チームが一丸になり、細かい部分も磨いていった。いままでのものとは違う」ものになっていると説明する。また「特に強調されて頂きたい」として、数多くの日本語フォントを提供している「モトヤ」のフォントを採用したことを明らかにした。これまでは「中国語の漢字が表示されてしまう」こともあったが、日本語フォントの導入により改善され「非常に心地よい」(ラーゲリン氏)と言う。

続いてラーゲリン氏は、Android 4.0が搭載する新機能について解説。GALAXY Nexusのインカメラを使用して顔認識で画面ロックを解除する「フェイスアンロック」のデモンストレーションを行なった。同機能は現在、「細かい筋肉の動きなどを認識させることで、自分の写真でアンロックできないようする」など改善を加えているという。

続いて、データ通信の使用量を監視する機能を紹介。ラーゲリン氏はバッテリの管理も重量だが、マルチタスクのデバイスであるAndroidはバックグラウンドでアプリが通信する場合もあるため「データをどれくらい使っているか、というのも重要」と説明する。

フェイスアンロックのデモ

データ使用量の確認画面

このほか、ソーシャル連携のPeople機能のデモンストレーションも行わた。同機能でば、ある人物を選択するだけで、連絡先やTwitterなど、その人物に接続できるサービス一覧が表示される様子が紹介された。また、NFCを使ったAndroidビーム機能では、端末同士を対向で合わせることで、AndoroidアプリケーションのURLを転送するデモンストレーションが行われた。

People機能のデモ。Gmailなどの連絡先や様々なソーシャルサーンビスを一元管理できる

Androidビームのデモ。同機能は、Google I/O 2011で「0-Click Interaction」という名称で紹介されていたもの

説明会の最後には質疑応答が行なわれた。これまでに提供されたAndroid端末のAndroid 4.0へのアップデートについては、NFCの搭載が条件となるAndroidビーム以外は「基本的には問題ない」とのこと。ただし、GPUスペックが低い機種では不具合が生じる場合があるという。基本的に新しいOSは前モデルのリファレンス端末できちんと動くように作っているという。よってNexus Sまたは同等のスペックを持った端末であれば問題なくAndroid 4.0が動くとのことだ。

リファレンス端末を製造するパートナーを選定の基準にして関しては「利害関係を完全に捨てて、ソフトウェアができた時点で、純粋にパフォーマンスが良い会社を選ぶ」とラーゲリン氏は説明する。よって、Googleが買収したMotorola Mobilityを優先するようなことはないという。

このほか、AppleとSamsungの特許侵害をめぐる争いについては、「Android OSに対してのクレームというよりもデザインパテント」が焦点になっているとの認識。業界の中で起きていることは意識してはいるが、グーグルとしては「ユーザーが欲しいイノベーション、メーカーが欲しいイノベーションをできるだけ実現していくだけ。それらをオープンソースの形で提供し、ユーザーにとって最強の端末を作っていくことにしか集中していない」と説明した。

会場には タッチ&トライコーナーが用意されており、GALAXY Nexusを試用することができた

NFCの項目にチェックを入れるだけで、Androidビーム利用できるようになる

(提供:AndroWire編集部)