A棟1階ではプリント基板を製造
島根富士通には約2万3,000平方メートルの面積があるA棟、B棟の2つの建屋がある。今回公開されたのはA棟だ。A棟の1階は、プリント基板の製造工程となっている。
A棟2階は組み立て工場
さて、A棟の2階は組み立て工場だ。人手による組み立ての工程は1ライン10人体制で、ベルトコンベアで流れてくる部品を指示票に従って組み立てていく。
さらなる生産拡大にも意欲
現在の生産規模は日産1万台弱で、時間外労働が一日あたり1~2時間程度でこの実績を達成している。生産改善を続けた結果、従来は100mだったライン長が現在は35mにまで短縮された。空きスペースが増え、倉庫として使われている部分等にも余裕があるという現状から、島根富士通の宇佐美社長は「生産拡大の余地は、まだ十分にある」と生産拡大にも意欲を見せている。
生産人員としても、現在の35mのラインは15人のスタッフで生産を行っており、中国のODMでは120人と人海戦術で生産を行っている違いがある。賃金差の面でも、従来は日中で15倍の格差と言われたが、現在はこれよりも縮まっている。
なお、福島県にある富士通アイソテックが東日本大震災の被害により生産をストップした際、2007年に策定した事業継続計画に基づき、島根富士通に生産を移行する試みが行われた。
しかし、実際には富士通アイソテックの建屋の天井が落ちたため、専門家の許可なしに建物に入ることができず、即日で機械を移動することは実現しなかった。また、交通手段もなく、スタッフ・機械が移動することは物理的に実現できなかった。さらに、震災にあったスタッフは自身だけでなく家族も震災にあっていたため、簡単に島根へ移動することができなかったなど、予測とは異なる事態が次々に起こった。このため、川崎の開発スタッフが島根富士通に移動して作業を行うなど、想定とは異なる対処をすることになったという。