日本ビクターは22日、コンパクトコンポーネントDVDシステム「EX-AR9」を発表した。発売は8月下旬。EX-AR9は、同社の運営する公式ショッピングサイト「ビクターダイレクト」のみで販売される限定モデル。同サイトでの販売価格は、12万9,800円を予定している。

「EX-AR7」に、ビクタースタジオとのコラボで音質チューニングを施した限定モデル「EX-AR9」

EX-AR9は、同社が2009年10月に発売した「EX-AR7」をベースにしたプレミアムモデル。EX-AR7は、DVDチューナーアンプのセンター部に、φ9cmのフルレンジウッドコーンユニットを使用したスピーカーシステムを組み合わせた製品。ウッドコーンの振動板は、木の繊維方向に振動が伝わりやすいという性質を持っているが、EX-AR7では、振動板の上に、繊維方向が異なるウッドシートを装着することで、より広い範囲に音が広げる「新ウッドコーン」の採用を大きな特徴としていた。EX-AR7自体、数々の受賞歴をもつ、音質に定評のあるモデルだが、EX-AR9は、このEX-AR7をベースに、さらにビクタースタジオとのコラボによる音質チューニングを施している。

まず、ウッドコーンユニットのチューニング。センターキャップの内側に、メイプル材を使用した吸音材を配置。メイプル材は、繊維の方向が振動板の振動方向と平行になるように配置している。さらに、センターキャップの形状も変更。サイズ自体は従来から変更されていないが、曲率をR23からR15に変更。これらにより、センターキャップ内の共振音を吸収するとともに、音の広がりを増している。また、振動板には、不均一コルゲーションダンパーを設置。内側から外側にかけて高さが増していく同心円状の凹凸によって、低域のリニアティを向上させている。

キャビネットでは、バッフル板の上部内側に、スプルース材の響棒を配置。上方向の音場を拡大している。さらに、ユニットの背面に装着していた防振用の木材の素材を、チェリーからメイプルに変更するとともに、形状も最適化。解像度の向上と低域再生能力の向上が図られている。

チューニングは、スピーカーシステムだけでなく、センター部にも施されている。まずは、シャーシに使用されているネジやワッシャの素材を、アルミ製/銅製/真鍮ニッケルメッキと、位置によって使い分けている。これは共振周波数を分散させる目的だが、同社によると、素材を分けただけでは不十分で、さらに、その配置を調整することで、より効果的な振動の低減が可能になるとのことだ。また、ベースモデルのEX-AR7でも、シャーシの天面に防振のためのウッドトップベースが設置されていたが、EX-AR9では、さらに高い妨振効果を得るために、取り付けネジとワッシャを銅製に変更。これらの振動対策により、ピアニッシモ部分での分解能力などが向上しているという。さらに、同社の高音質化技術K2回路の定数の変更や、GNDの変更、コンデンサの変更など、電気的な部分でのチューニングも行われている。

なお、EX-AR9は、ビクターダイレクト限定モデルで、一般の販売店に並ぶことはないが、7月25日より、丸の内にある同社のショールームに先行展示され、実際にその音を聞くことが可能だ。また、7月30日には、ビクタースタジオでの特別試聴会も開催される。試聴会では、EX-AR9の試聴に加えて、音質チューニングに携わったビクタースタジオのセンター長も出席し、チューニングのポイントなどの解説を行う予定。試聴会は3回行われ、各回とも定員は15名。入場は無料だが、参加には事前予約が必要だ。予約は、ビクターダイレクトで受け付けており、先着順で、定員が埋まり次第受付は終了する。