新たな機能がいろいろと加わっているNVR500だが、RT58iと共通する機能については、設定画面のデザインや操作手順は変わっていない。そのため、RT57iやRT58iに慣れたユーザーであれば、何の迷いもなく使い始めることができる。これは、すでにヤマハルータに慣れたユーザーがNVR500を導入する際の、大きなメリットといえるだろう。

NVR500の設定画面(トップページ)。デザインも操作手順もメニュー構成も、従来機種と共通しており、すんなりと使い始めることができる

VPN機能とファイル共有機能のメリット

NVR500は、最大1Gbps、実効値で800Mbpsのスループットを持ち、4ポートのスイッチングハブを内蔵する。LAN側・WAN側ともインタフェースをギガビット・イーサネット化したのは重要な改良点だ。LANに加えてFTTHサービスもギガビット化が進んでいるが、それを受け止められるだけの基礎体力があるわけだ。しかし、こうした観点だけではNVR500のメリットは語れない。

NVR500は従来機種と同様、PPTP(Point to Point Tunneling Protocol)によるVPN機能を持ち、LAN間接続、あるいはLANへのリモートアクセスを実現できる。外出先から自宅やオフィスのLANに設置したサーバにアクセスできるわけだが、これは個人ユーザーのレベルでも案外と便利だ。外出先で作成したデータを自宅のファイルサーバにコピーして、データの保全を図る等の使い方がある。

PPTPによるリモートアクセスVPNの設定画面。最大4ユーザーまで登録できるのは、従来機種と同様

しかも、NVR500自体にUSB接続のハードディスクを取り付けて、それ自身がファイルサーバとして機能できる。つまり、別個にサーバやNASを用意する必要がなくなる。設置スペースの抑制や省エネルギーの観点からすると、この機能のメリットは大きそうだ。

NVR500のUSBインタフェースにストレージ機器を接続すると、NVR500自身がファイルサーバとして機能できる。NVR500同士で、接続したストレージ機器の内容を同期させる機能もある

また、RT58iから引き継いだ機能のひとつに、VoIP(Voice over IP)機能がある。NVR500は2ポートのアナログ電話回線ポートを備えており、そこに市販の電話機を接続することで、VoIPアダプタとして機能する。インターネット経由で他のNetVolanteユーザーと通話することも、VPNトンネル経由で内線電話的なVoIPを実現することもできる。このほか、ISDN回線の利用も可能だ。安定性・確実性という観点から、ISDNにも相応の有用性がある。

NVR500の背面に備えられた、ISDNや電話関連のインタフェース群。当節、ISDNとアナログ回線の両方に対応しているのは貴重だ

ヤマハルータでつくるインターネットVPN [第3版]

4月下旬発売予定
著者:井上孝司 協力:ヤマハ 価格:4,515円
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