Q:次にColdFireの話に。現状のKinetisとColdFireの差別化、が私にはまた良くわからなくなっています。例えばColdFireのロードマップ、以前だとV1/V2/V3/V4とV4eがラインナップされていましたが、最近のFreescaleのロードマップではKinetisとColdFire+がラインナップされている状態です。で、"+"のつかない従来のColdFireはLegacy Product扱いされているように見えます

ColdFire+は、単に90nmプロセスを使ったColdFireというだけだ。ColdFireに関するアナウンスは近いうちにあると思うが、基本的にはASSPなどの異なるプラットフォーム向けである。Legacy、というのは正しくない。ColdFireの性能や機能は十分に競争力がある。今のColdFire+はColdFire V1に90nmプロセスとTFS Technologyを組み合わせたものだ。

ポジションとしては、ColdFireは主に、特定分野向けASSP用となる。例えばスマートメータなどだ。あるいは民生向けであっても、消費電力を低く抑えつつ性能が欲しいといった用途に向けたものとなる。ARMはスケーラブルなポートフォリオであり、両者は異なったポジションとなる。

Q:なるほど、では既にColdFireを使っている既存のカスタマにとってはColdFire+は良い選択肢なのでしょうが、全く新しいカスタマに対しては、両者をどう説明されるのでしょう?

繰り返しになるが、その場合は周辺回路・性能・価格・消費電力の4つの観点から判断することになる。つまりカスタマがこの4つについてどういう判断をするか、次第だ。例えば、豊富な周辺回路と価格を重視する、というカスタマにはColdFire+を薦めることになる。逆に周辺回路とARMアーキテクチャを重視する、というのであればKinetisを薦めるわけだ。

Q:確認ですが、ColdFireは現在ASSP/ASIC向けをPrimaryとしているというお話でした。ではもしカスタマがASIC/ASSP向けにARMを使いたいとした場合は?

現在我々はASIC/ASSP向けに多くのカスタマを抱えているが、彼らが強力なプロセッサコアを必要としたことはない。この件では多くの議論をしたが、ColdFireで十分だという答えが返ってくる。ただもカスタマがARMあるいはPowerPCを望むのであれば、我々はそれらを使った(ASIC/ASSP用)プラットフォームを用意できる。

Q:ところで2006年にお会いした時に、あなたの仕事はColdFire V5がいつ標準品向けにリリースされるかを決めることだと仰ってました。で、これについてはいかがでしょう?

2011年の現時点ではまだだ(笑)。現在FreescaleはPowerとARMという製品ラインもある。我々はColdFire V5の性能は汎用プロセッサとして十分なニーズがあると考えており、引き続きこれを標準品としてリリースする可能性を探ってはいるが、今のところはまだASIC向けのみだ。

Q:ColdFire V6については?

V6はV5の後になる、ということしか言えないな。ColdFireはMCUに完全にフォーカスしたものになっている。そしてMCUの領域では、CPUコアそのものの性能は必ずしも必要ではない。もちろんColdFireはより高いIPCを狙っているが、これは高い性能というよりは、消費電力の効率化を狙ったものだ。

Q:確認させてください。ColdFire V6の開発は現在ホールドしていると考えていいのでしょうか?

我々はASICプラットフォーム向けにColdFireシリーズの開発を継続している。ただしV6に関しては直近でアナウンスすべき事は無い。