出張の際、ばかにならない荷物がビジネス資料の類だ。企画書作成のために持って行く資料、そして出張先で渡されるレジュメや仕様書。日程に○○ショーのような見本市イベントが組み込まれていれば、さらに膨大なカタログやパンフレットが加わる。土産用に空けておいたスーツケースの空きスペースに詰め込みなんとか持ち帰るものの、振り返ってみれば大して活用できなかった…。そんな経験はないだろうか。

かくいう私も、そんな"むなしい苦労"を幾度となく繰り返してきた。が、先日の海外出張時、この問題を大きく改善する体験をすることができたのでご報告したい。

ホテルやカフェのテーブルで、どんどんスキャン

鍵となるアイテムは、キングジムから発売中の「スキャミル」。2.4型TFTカラー液晶モニターを搭載したモバイルスキャナーだ。本体サイズは、幅282mm×高さ61×奥行き76.5mmmm。なんと、A4雑誌を縦に2つに折った状態より小さい。

付属の専用USBケーブルは、USBバスパワーを考慮してPC側が二股になっている。なお、筆者のネットブックはUSBコネクターひとつ分でも問題なく動作した

最大の特長は、PCがなくても使える点。スキャンした画像はスロットに差し込んだSDカードに自動的に保存、蓄積されていく仕組みだ。電源は専用ACアダプターが付属するが、付属の専用USBケーブルを使えば、USBバスパワーでも駆動する(すべてのPCおよびSDカードで動作を保証するものではないので注意)。作業用のノートPCやタブレットを持ち運ぶ人なら、ACアダプターを自宅に置いていくという選択肢もアリだろう。

PCにUSBで接続した場合、まず、電源供給(バスパワー)で接続するか、マスストレージとして接続するかを選ぶ。マスストレージで接続した場合、スキャミルをカードリーダーとして利用できる

日中の仕事を終えてホテルに戻り、その日に貰った紙資料をどんどんスキャンする。スキャミルは本体のコンパクトさに加え、原稿をオートローディングしながらスキャンしてくれるので、手で転がしながら読み込むローラータイプのスキャナーに比べて作業スペースを取らない。したがって、ビジネスホテルの狭い机やオープンカフェのテーブルでも余裕を持って作業できるのだ。なお、原稿を1枚づつ挿入していく必要から、ページ物はスキャンできない。とはいえ、閉じ具を外したり必要ページのみを切り取ってやればいいので、特に問題はないだろう。

原稿を自動的に一定の速度でローディングしてくれるので作業スペースを取らず、原稿の歪みも少ない

スキャンできる原稿は最大約216mm×300mm、最小約38.1mm×50.8mm。A4用紙から映画館チケットの半券まで、と書くとわかりやすいだろうか。ただ、レシートなどの小さい原稿は挿入口に入れにくいので、付属するA6(150mm×110mm)サイズのスキャン用シートを利用したい。原稿を透明シートと黒背景紙の間に挟んでやることで、より簡単かつ確実にスキャンできるようになる。なお、黒背景紙の余剰部分は自動的に立ち落としてくれるのでご安心を。これを使ってレシートや領収書もスキャンしてしまえば、頭の痛い出張費精算も効率化できそうだ。

スキャン用シートを使えば、サイズの小さな原稿や紙厚の薄い原稿でもスムーズに読み込める

また、サイズに関係なく、紙厚が薄いものは読み込ませるのにやや苦労することがある。が、こんな場合にも、このスキャン用シートをどんどん利用したい。たとえ紙がシートからはみ出しても、問題なくスキャンしてくれる。

気になるスキャン速度は、A4原稿をカラーモードで約20秒、グレースケールモードで約15秒と、解像度を考えればかなり高速だ。……つづきを読む