WiMAXをオンにすると、3GとWiMAXの両方の待受状態になり、画面上部には3Gアンテナに加えてWiMAXのアンテナ表示が現れる。表示は無線LANのようなアイコンだが「WX」表示がついて区別されている。この状態だと、音声通話は3G、データ通信はWiMAXを使う設定になる。なお無線LANをオンしている場合は無線LANに接続される。

画面上部の回線表示にある「WX」付きのアンテナマークがWiMAXの電波状況。筆者の自宅は少々電波が弱い

なおHTC EVO WiMAXにはWiMAXをオン・オフできるウィジェットが用意されている。これをホーム画面に配置しておくことで、ウィジェットをタップするだけでオン・オフの設定を行うことができる。

付属のウィジェットには、通信系をそれぞれ1タッチで設定できるものが用意されている。ホーム画面から1タップで設定変更できるのはAndroidスマートフォンのメリットの1つだ

WiMAXの最大のメリットはやはり、高速な回線スピードだ。Android用アプリ「SPEED TEST.NET」で通信速度を計測してみたところ、電波強度によって速度は異なったが、安定して電波の入る場所では10Mbpsに迫る速度に達しており、十分な速度を体感できた。また、BNRスピードテストでは、下り9.72Mbps(5回試行の平均)、上り2.5Mbps(同)という結果だった。また後述するテザリング機能を使い、PC(MacBook Air)に接続して同じテストを行った場合は、下り5.15Mbps(同)、上り3Mbps(同)という結果となった。

なお今回の速度計測は、同じ場所で連続的に試行したのだが(千葉県・電波状況は強)、端末自体とPC接続時の下り速度の結果に乖離があった理由はちょっと分からない。ただ、同じように3G回線のテザリングを行ったところ、下り0.68Mbps(同)、上り452kbps(同)だったことからも、WiMAX回線を利用したデータ通信が高速であることが分かる。

これまでのスマートフォンの場合、外出先で高速な通信環境を得るには、公衆無線LANサービスを利用する必要があった。だが公衆無線LANサービスの提供エリアは、喫茶店やホテル、地下鉄のホームなど拡大されてきてはいるが、まだ「点」の広がりであり、利用できる場所は限られている。その点HTC EVO WiMAXが対応するWiMAXは、新興の通信規格でエリア拡大中とはいえ、首都圏などの大都市を始め、人口カバー率は実用的なレベルに広がってきている。無線LAN環境がない屋外でも、快適な高速通信が利用できるのは大きな強みだ。

3G回線については、auの回線を使っているのでカバーエリアは当然全国に拡がっている。ただしHTC EVO WiMAXでは、auの800MHz帯再編に伴い旧周波数帯に対応しておらず、新800MHz帯と2GHz帯の利用となる。そのため、既存の携帯電話よりも多少利用可能エリアは狭くなるのだが、KDDIによれば現時点でも「新800MHz帯と2GHz帯で99%の人口カバー率」だという。カバーエリアについては、そこまで心配ないでよさそうだ。