既報のとおり24日に発表された新型MacBook Proは、全機種第2世代Intel Core搭載によりパフォーマンスが大きく向上したほか、新インタフェース採用、FaceTimeのHD化などを行っている。この新型MacBook Proについて、米Appleから担当者が来日して報道関係者向けのブリーフィングセッションを行った。ここではその内容をご紹介するとともに、新製品のファーストインプレッションをお届けしよう。

高機能を従来と同じボディに搭載!

製品の説明に入る前に、最近のMacの販売状況についての簡単な紹介があった。それによれば、直近4半期のMacの販売台数は413万台(ワールドワイド)で、過去最高。前年比では、日本国内では54%、ワールドワイドでは23%の成長となっているという。前日にはMacBook Proの発表と同時にMac OS X Lionのデベロッパ向けプレビューのリリースも行われており、今年のさらなる成長にも期待できそうだ。

そして本題の新型MacBook Proだ。担当者が特徴として挙げたのは、CPU、Thunderbolt、FaceTime HDの3つの機能。そしてそれらを従来と同じユニボディに収めているという点にも言及した。

3つのサイズを並べてみたところ。外観は基本的に従来モデルと同じ

第2世代Intel Core搭載でパフォーマンスは大きく向上

第2世代Intel Coreの利点についてはすでにご承知の読者も多いと思うが、Appleの担当者が強調したのは従来は別チップ上に分かれていたCPUコア/キャッシュとGPUが、1チップ上に統合されている点。今回のラインナップでは、13インチの上位モデルにモバイル向けデュアルコア最速のCore i7の2.7GHz版を用意、15/17インチモデルにはクアッドコアのCore i7 2.2GHz版/2.0GHz版を用意するとともにオプションとしてモバイル向け最速の2.3GHz版を選択できるようにするなど、最速クラスのCPUを採用した結果、従来モデルの同一ポジション製品と比較してパフォーマンスは大きく向上しているという。

なお、新型MacBook Proに搭載されているチップセットは、SATAポートに問題が発覚した「Intel 6シリーズ」のチップセット。ただしMacBook Proに搭載されるのはすべて不具合を修正したB3ステッピングのチップセットになるとのことなので、同問題の影響を心配する必要はない。

内蔵グラフィックスとAMD Radeonを自動切り替え

グラフィックスについては、13インチモデルではCPU内蔵のIntel HD Graphics 3000のみを使用。15/17インチモデルではCPU内蔵のIntel HD Graphics 3000と、それとは別に搭載されたAMD Radeon HD 6490M/6750Mを自動で切り替えて使用する。この自動切り替えはこれまでの発展形となり、実行するアプリケーションに応じ、処理の軽いアプリではIntel HD Graphics 3000が、処理の重いアプリではAMD Radeonが使われる、という形で動作。切り替えはユーザーが意識することなく行われ、手動での切り替えは行えないとのこと。

また、13インチモデルのグラフィックスが別チップのNVIDIA GeForce 320MからCPU内蔵のIntel HD Graphics 3000に変わることでパフォーマンス面での心配が出てくるが、担当者によれば、ベンチマークの結果でも13インチモデルのグラフィックス性能は従来モデルと同等で、パフォーマンスが低下しているということはないという。15/17インチモデルについてはCPU統合グラフィックスの性能向上も寄与し、大きくパフォーマンスがアップした。

Thunderbolt対応機器は春ごろ登場か

新インタフェースThunderboltについては、Intelが開発したLight Peakの技術を、IntelとAppleが協力して実装したのがThunderboltであるとし、基本的に独自規格ではなく、フリーの規格であるとその位置づけを説明した。対応デバイスについては接続ケーブルなども含めて各メーカーが準備・開発を進めている段階とのことで、実際の製品が出てくるのは春以降になる。なお、今回のブリーフィングセッションの場には、試作品としてRAIDストレージ、SSDドライブが用意されていた。

Thunderboltの規格上のデータ転送速度である10GbpsはUSB 2.0の20倍、Firewire 800の12倍、USB 3.0の2倍にあたる。デモでは外付けドライブでのファイルコピーにおいて約800MB/s前後(約6.4Gbpsに相当)、非圧縮動画の4本同時ストリーミング再生で約600MB/s(約4.8Gbpsに相当)の転送速度を発揮しており、普及が進めばさまざまな作業が快適に行えるようになりそうだ。

Thunderboltインターフェイスの端子形状は、Mini DisplayPortと見分けがつかない。Mini DisplayPort-DVIの変換アダプタなどもそのまま利用できるという

FaceTimeの高解像度化と同時にアプリが正式リリース

FaceTimeカメラは、720p(1,280×720)の解像度をサポートするよう高精細化。従来モデルのiSightカメラでは640×480ドットで画像を扱っていたので、約3倍の解像度ということになる。なお、今回の発表と同時にFaceTime for Macのアプリケーションも正式リリースされており、従来のベータ版段階から縦横のワンクリック切り替え、プレビューの移動、16:9の表示やフルスクリーン表示といった機能に対応している。現時点でFaceTime HDカメラの高解像度を活かせるビデオ通話ができるのは新型MacBook Pro同士での場合に限られるが、将来的には他のMac製品のカメラも高解像度のものに切り替わっていくと思われる。

FaceTimeカメラは高解像度化したが、外観からは見分けがつかない

バッテリについては、今回の新型MacBook Proでは、バッテリ駆動時間は約7時間と、従来モデルと同等のレベルを維持している。担当者は、CPUやグラフィックスについてパフォーマンスが大きく向上しているにもかかわらず、バッテリ駆動時間を維持している点を強調していた。ちなみに今回のMacBook Proでは、2010年秋発表のMacBook Airで導入された新しいバッテリプロトコルを採用しているという。また、約7時間というバッテリ駆動時間は、ワイヤレスでインターネットに接続し、トップ25のWebサイトを閲覧した場合の結果。そこではFlashなど負荷の大きいコンテンツの再生も行っており、ユーザーの実感に近い結果のはずだとした。

なお、Webサイトに「お使いのiPhone 4の3G接続を共有できる」との記載があったことで話題になったiPhone 4でのテザリングについては、ソフトバンクモバイルがテザリングのサービスを提供していないため、やはり日本においては利用できないようだ。