昨年から今年にかけて、世間を賑わせた家電がある。

羽根のないユニークなデザインを採用した「エアマルチプライアー」

それが、ダイソンから発売された「Air Multiplier(エアマルチプライアー)」だ。いや、その名前で呼ぶよりも「羽根のない扇風機」と言った方が通りがいいだろう。商品名を知らない人でも、おそらくその特徴的な形状を一度は見たことがあるはずだ。

しかし、ぼくはずっと疑問に思っていた。羽根がないのになぜ風が起こるのか? おそらくエアマルチプライアーを見た人のうち90%は同じことを考えたはずだ。気になってしかたないので知り合いに聞いてみたこともあるのだが、明快な答えは返ってこなかった。そうなるとますます気になってくる。

ということで、ダイソン公式サイトを見たところ、エアマルチプライアーテクノロジーのページに望んでいた答えがあった。

なぜ羽根がない扇風機が強い風を起こせるのか、そしてそのメリットは何なのか。詳細は同ページのムービーをご覧いただきたいのだが、ようするにこのテクノロジーのポイントは、"吸気口、背面、周囲、3ヶ所から空気を吸い込む"というところにあるらしい。

中でも「おおっ」と思ったのが、エアマルチプライアーを真ん中でぱっくり割って横から見たときに、円状の部分の断面がまるで飛行機の翼のようになっている点だ。この独特の形状が空気を加速させ、気流を生み出しているのである。うーむ、なるほど。

シンプルだが、既存の構造に囚われていては思いつくことのできない発想だ。しかし、別に驚くほどのことではないのかもしれない。何しろダイソンは、製材所の機械からサイクロン式掃除機を思いついたのだから。