Thubanというコード名で知られていたAMDのデスクトップ向け6コアCPUである、「AMD Phenom II X6」が発表になった。今回もAMDから評価機材をお借りして色々試してみたのだが、残念ながらスケジュールの都合上、フルレポートを本日お届けする余力がない。そこで今回はプレビュー版として、製品の紹介と簡単なベンチ結果だけまとめてレポートさせていただく。フルバージョンは近日中にお届けする予定だ。

今回発売された製品は二種類

Photo01: Phenom II X6 1090TのOPNはHDT90ZFBK6DGR。流石に4桁にはしなかったようだ。

Thubanコアの実際はServer向けのIstanburという事は知られている話である。実際基本的な機能はほぼ同じである。今回発表されたのは、

動作周波数 TDP 価格
Phenom II X6 1090T 3.2GHz/3.6GHz 125W $295
Phenom II X6 1055T 2.8GHz/3.3GHz 125W $199

の2製品である(Photo01)。ただしDesktop向けの機能として新たにAMD Turbo CORE Technologyが搭載されている(Photo02)点がちょっと異なる。理屈としてはIntelのTurbo Boostに近いものだが、動き方はPhoto03の様になる。

Photo02: 実際にどの位上がるか、は製品によって異なる。Phenom II X6 1055Tは500MHz Upだが、Phenom II X6 1090Tは400MHz Upとなる。

Photo03: AMDとしては初のTurbo機能なので、絶対にTDPオーバーとならないように随分配慮した形。当然Normal→Turboの遷移には時間がかかるし、そもそもTurboが有効になる条件が厳しいので、性能面でどのくらいのインパクトがあるか、は微妙なところ。

すなわち、

(1) 3つ以上のコアが一定期間Idleになる。
(2) IdleのコアをP1 Stateに落とす。
(3) ActiveのコアをTurbo動作させる。
(4) 処理が終り(もしくは他のCore動作のトリガが入り、あるいは温度/TDPなどの上限となり)、Activeコアが定格動作に戻る。
(5) Idleのコアが復帰する

という具合で、絶対にTDP枠を超えないように割と気をつけて実装されているのが判る。ただし、最大3コアがTurbo動作するのはちょっと異なるところ。またIntelと異なり、今のところはNormalかTurboのみである。こうした様子は、CPU-Zの表示でも判る(Photo04~06)。ちなみにWindowsからはきちんとPhenom II 1090Tと認識された(Photo07,08)。

Photo04: 定格動作時。200MHz×16倍の3.2GHz動作。ところでNameが"AMD Phenom II X6 1095T"になっているのは何故だろう?

Photo05: こちらはIdle時。200MHz×4倍まですぐ落ちる。

Photo06: 負荷の高いシングルスレッドアプリケーションを走らせると、こんな形で最高3.6GHz動作に。

Photo07: Windows Experience Indexが5.9と低いのはHDDが遅いため

Photo08: Processor Indexは伸びず7.5どまり。ちなみにPhenom II X2 1055Tと1090T、どちらも7.5だった。

さて、このPhenom II X6と一緒に発表されたのが「AMD 890FX」チップセットである。こちらの紹介は後のフルバージョンでまた詳しく行いたいと思う。とりあえず今回テスト機材としては、ASUSTeKの「CROSSHAIR IV FORMULA」を利用した(Photo09)。BIOS Setupにはちゃんと"CPB Control"の項目があり、これでTurbo CORE TechnologyのOn/Offが可能である。

Photo09: AMDプラットフォーム向けハイエンドだったCROSSHAIR III FORMULAの後継製品。ところでASUSTeKのサイトでCROSSHAIR III FORMULAを探すとエラーになるのは何故だろう?

Photo10: CPBはCore Performance Boostの略。