消費電力(グラフ20~22)

まずグラフ20が主要なアプリケーション別である。今回の場合もRadeon HD 5870やRAID 0のHDDといった構成なので、絶対的な消費電力がやや高めとなっているが、さすがに同じ125W TDPの製品同士ということもあり、殆どのケースでX4 965とX6 1090Tの消費電力は同等である。もっと言えば待機状態に関してはむしろ消費電力が減っていることが判る。

更に、SandraのArithmetic Benchmarkを使ってもう少し細かな傾向も見てみた。CROSSHAIR IV FORMULAはBIOS Setupの中で有効コア数を1~最大コア数まで連続して可変できる。これを使い、コア数を増やすとDhrystone/Whetstone実行時の消費電力がどう変化するか、をプロットしてみたのがグラフ21と22である。両方のグラフを見比べると判るとおり、X6では待機状態における消費電力が明確に10WほどX4 965より低くなっている。また1コアあたりの消費電力が、大雑把に言って、

X4 965 : 17W/14W
X4 1055T : 12W/10W
X4 1090T : 14W/11W(いずれもDhrystone/Whetstone実行時)

に減っている事が判る。勿論同じ45nm SOIプロセスで劇的な変更はないし、また動作周波数が若干下がっているからそれによる効果はあるにしても、随分消費電力は頑張って下げた、という印象が強い。

ということで

プレビュー版の簡単なまとめをすると、概ねPhenom II X6 1090TはPhenom II X4 965よりも若干高速で、同じ消費電力枠に収まるというあたりだろうか。性能はアプリケーションに依存し、エンコーダとかレンダリングならば大きく性能を伸ばすが、3Dとか通常のアプリケーションではあまりその効果は見られない。またPhenom II X6 1055Tは、消費電力はやや下がるが、性能も落ち気味である。エンコーダなどの用途を除けば、依然としてPhenom II X4 965の方が良い選択だろう。

ということであるが、実はPhenom II X6 1090Tにはもう一個隠し玉があり、これを使う事でまた性能が引きあがることが既に確認できている。またTurbo CORE Technologyの効果はもう少しきちんと検証したほうがいいだろう。加えて、非AMDプラットフォームとも比較をしてみたいところだ。というわけで、このあたりはこのあとのフルバージョンで御紹介の予定なので、楽しみにしていてほしい。