最大1000fpsのコンパクトカメラに驚き

EX-FS10Sを手に、EX-FC100を手にした当時の印象を語る堀尾氏

当時の堀尾氏が取り入れた動画撮影設備は、デジタルビデオカメラとPCをつないだもの。さらに大きめのモニターも用意しており、撮影した動画をPCに取り込み、それを専用のゴルフスウィング分析ソフトで再生させ、モニターに映している。

この設備は、現在も利用しており、レッスン生の上達に大きく寄与してきたわけだが、「外に持ち運べない」、「導入するのにお金がかかる」などの問題も抱えていた。

「特に外に持ち運べないといのは頭の痛い問題で、うちでは、ゴルフ場でレッスンを行う1Dayスクールも実施ているため、できれば、ラウンド中にも撮影動画を使って教えられないかと考えていた」(堀尾氏)。

そんな折に、知り合いから「すごいカメラがある」と、カシオの「EX-FC100」を勧められる。FC100は、最大1000fpsのハイスピードムービーの撮影機能を搭載したコンパクトデジタルカメラになるが、多くのデジタルカメラを試してきた堀尾氏は「それほど使えるカメラが急に出てくるはずがない」と半信半疑。「通常のカメラのコマ送りより少し良い程度では?」(堀尾氏)と想像していたという。

ところが実際に使ってみると、「これまでのカメラとは比べものにならないくらい、スウィングの軌道がはっきりとわかった」(堀尾氏)という。しかも、各コマとも画質が高いため、細かい動きもしっかり確認できる。これには「非常に驚いた」(堀尾氏)そうだ。

「ゴルフは、ボールを遠くまで飛ばすスポーツ。男子プロにもなれば、300ヤード以上先まで飛ばすことになる。にもかかわらず、スウィングにかかる時間は1秒ちょっと。したがって、わずかな動きの誤りが及ぼす影響は大きいし、その誤りを見つけることも難しい。そうした点を考えると、1秒間に1000フレームも撮影できるFC100は非常に画期的だった」(堀尾氏)。

この出会いをきっかけに、ラウンドレッスンにFC100を取り入れていた氏は、後に、ゴルフダイジェスト・オンラインの担当者から、「ゴルフ専用モデル(EX-FS10S)が発売される」という話を聞いて、カシオ担当者と連絡をとり、発売前から試すことになった。

EXILIMで撮影した動画
(FS10Sで撮影。画質は、リサイズおよびFLVへの変換処理の際に多少劣化している)

ティーチングプロがいつも想定しているガイドラインを表示

ゴルフ専用モデルのFS10Sの感想を尋ねられた堀尾氏は、同カメラの最大の特徴である「ライン表示機能」が有効であることを強調する。

「EX-FS10Sには、動画再生時にスウィングをチェックするうえでの指標となるラインを表示させる機能がついている。これが非常にありがたい。普段、私達がスウィングをチェックするときには、各種のラインを頭の中で引っ張り、それを参考にしながら問題を見つけているが、頭の中のラインは相手に見せられないので、例えばクラブヘッド1個分遅れているとか、シャフト2個分下がっているとか、そういった細かいところを伝えるのは難しい。PCのスウィング分析ソフトには、これをサポートする機能がついているが、それがコンパクトデジタルカメラに取り込まれたのはうれしい」(堀尾氏)。

ラインは正面撮影用と後方撮影用の2種類が用意されている。正面撮影用は、垂直に2本、水平に2本の計4本。これらを左右の足の外側と、ボールの位置、頭頂部に合わせて、体のブレをチェックするのがお勧めだ。

正面映像にガイドラインを表示させたときの様子

一方、後方撮影用では、起点と角度を変更できる斜めのラインを2本表示できる。起点をボールに合わせて、1本はシャフトと重なるように、もう一本は首の付け根を通るような角度に調整する。この2本のラインを参考に見ることでボディの動きが悪いのか、腕の動きが悪いのかをチェックできるという。

後方映像にガイドラインを表示させたときの様子

※ 撮影方法とチェックポイントの詳細は『中級ゴルファーに捧ぐ! 正しいスウィング撮影方法と6つのチェックポイント』をご覧いただきたい。

堀尾氏の説明にもあるとおり、これらは通常、PCのスウィング分析ソフトを使わなければ利用できない機能。撮影した動画をPCに取り込んで、尺を調整して、ソフトで分析といった作業が必要だった。それがコンパクトデジタルカメラだけで完結するというのは、大幅な効率化と言える。

また、従来はデジタルムービーカメラやPCを購入しなければならなかったものが、コンパクトデジタルカメラだけで済むので、コストの面でも大きなメリットがある。不景気の煽りを受け、懐が寂しいアマチュアゴルファーにとってはうれしい話だ。

なお、FS10Sには、そのほかに、逆光でも明るさを調整して撮影できる「EVシフト」機能や、撮影ボタンを押す前にカメラが捉えていた画像や映像を呼び戻して(通常撮影で約5秒、ハイスピード撮影で約2秒)記録できる「パストムービー」機能なども搭載されている。いずれも便利で、ゴルフ以外でも重宝する機能なので、こちらも併せて注目してみるとよいだろう。

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堀尾氏は、ティーチングプロの視点からのリクエストとして、「動画の早送り、巻き戻しを任意の速度で行える"ジョグダイヤル"のような操作インタフェース」、「ハイスピードで撮った動画を通常の速度でも再生する機能」、「2つの動画を並べて再生できる機能」などを挙げていた。カシオでは、こうした機能の採用も前向きに検討していくという。

これらの要望が取り込まれ、ゴルファー用のカスタマイズが進めば、今後、EXILIMがゴルファーの必須アイテムとなっていくと考えられる。そのカメラを初代から使っているユーザーとして、将来、優越感にひたるためにも、今の段階からぜひチェックしておいてほしい。

なお、こちらの記事では、ゴルフ動画撮影のポイントやスウィングチェックのポイントを紹介している。そちらもぜひ参考にしてほしい。