皆さんは「CASIO EX-FS10S」というカメラをご存知だろうか。同カメラは、EXILIMの中でも特にゴルファーが利用することを想定して開発されたモデル。今やEXILIMの代名詞ともいえるハイスピード撮影機能がゴルフの練習でより効果的に活用できるよう工夫されている。

ここでは、同カメラをレッスンにも活用しているツアープロコーチ堀尾研仁氏にスウィング練習との相性を語ってもらおう。

堀尾 研仁(HORIO Kenji)
- KEN HORIO GOLF ACADEMY主宰


体型に合わせたスウィングを指導するというコンセプトの下、ツアープロからアマチュアまで幅広くコーチ活動を展開。レッスンでは、スウィング分析アプリケーションや弾道計測器、体の動きを記録できるセンサー付きベスト「K-VEST」などの最新機器も取り入れた理論的な指導を実施している。

ゴルフ場の施設で行う1DAYスクールやクラブフィッティングなども行っており、ゴルフの上達をトータルに支援している。

KEN HORIO GOLF ACADEMYでは、スウィング動画を送ると、良い点/悪い点を分析して音声で解説して改善ドリルを紹介する「e-スウィングチェック」というサービスを提供しているほか、FS10Sで撮影したスーパースロー映像などを掲載する携帯サイトも運営している。

現代理論をいち早く国内に持ち込んだティーチングプロ

堀尾氏は、米国の最新ゴルフ理論を早期に日本へ持ち込んだコーチとして知られる。理論を授けたのは、ニック・ファルド選手、ニック・プライス選手、アーニー・エルス選手らを育てたティーチングプロのデビッド・レッドベター氏。1997年から6年間、レッドベター氏に師事し、その教えをしっかりと頭に叩き込んだ。

日本にてツアープロと契約して間もなく、田島創志選手、高橋竜彦選手など、ノーシードの選手をツアー優勝に導いたことで一躍脚光を浴びる。その後、谷口徹選手や小田龍一選手など、ツアー上位の選手とも契約。数多くの実績を残してきた。

氏の講習ポリシーは「適切なタイミングでアドバイスする」こと。「どんなに正しいアドバイスも、相手が求めていないタイミングで与えても良い結果は生まれない。ときには悪い方向に作用することもある」(堀尾氏)と言い、パートナーという立場から信頼関係を築き、相手がどういう精神状態にあるかを見極めながら、その場その場で良い方向に進むためのアドバイスを考えて与えていたという。

しかし、そうした気遣いが行き過ぎてか、2年前に悪性リンパ腫を患う。療養中には「選手に配慮しすぎる教え方は、選手にとって本当に良いものだったのか」(堀尾氏)と、ティーチングの姿勢を根本的に考え直すこともあったようだ。答えの出ない問題を前に、プロ育成以外の面からもゴルフ界に貢献できないかと模索した結果、現在は、アマチュアを対象にしたレッスンにも力を入れはじめている。

スウィング修正は現状をわかってもらうことから

先進的な取り組みを行う堀尾氏は、以前からレッスンにビデオカメラを導入していた。そのわけは、「実際の動きと自分のイメージや感覚とのズレを埋めてもらうため」(堀尾氏)という。

「自分の中では理想的な動きができているつもりでも、実際にはそうなっていないことは非常に多い。そのようなケースでは、本人が問題を認識できていないだけに、修正点を指摘してもなかなか納得してもらうのが難しい。しかし、自分のスウィングを映像で見せられ、具体的にここが悪いと指摘されれば、すぐに理解してもらい、修正方法の話に移れる」(堀尾氏)。

また、カメラで撮影することにより、他人のスウィングと自分のスウィングを比較することもできる。読者の中には、ゴルフの上手な先輩や同僚から同じ内容のアドバイスをまったく異なる表現でもらった経験をお持ちの方が少なくないと思うが、そのような例からもわかるとおり、体の動きや感覚を言葉で伝えるのは非常に難しい。しかし、映像で比較されれば、そうした問題も生じなくなる。

「これが、ツアープロのようにハイレベルな話になれば、修正点が細かくなることもあり、言葉で表現するのはますます難しくなる。こうした問題をクリアするためにも撮影動画を使ったレッスンが必要だった」(堀尾氏)。