27日に開催される米Appleのスペシャルイベントについて、何が発表されるかで話題が持ちきりだが、同時に今後のタブレット製品の展開をにらんだ業界各社との提携にも注目が集まっている。米Wall Street Journalが18日(現地時間)に報じた内容によれば、大手出版社の英HarperCollins Publishersがタブレット製品への同社の電子書籍提供をにらんだ交渉を行っているという。

HarperCollins Publishersは、傘下に多数の出版ブランドを抱える老舗出版社の1つ。Googleとの決別宣言で知られるルパート・マードック(Rupert Murdoch)氏率いる米News Corp.の傘下企業でもある。2009年末の米Amazon.comにおける電子書籍の売上が既存出版物を上回る中、HarperCollinsもこうした電子書籍ブームの恩恵を受ける出版社の1つだが、同時にサラ・ペイリン氏の自叙伝の出版では電子書籍化に抵抗を見せるなど、Amazon.comなどの新興企業や新技術に対する複雑な心境も覗かせる。

WSJが同件に近い筋の情報として伝える内容によれば、HarperCollinsとAppleとの交渉理由の1つは、こうしたAmazon.comなどへの対抗が念頭にあるという。Appleが実際にHarperCollinsの電子書籍をiTunesを介して販売するかはまだ不明だが、Appleは他の複数出版社とも同様の交渉を持っており、この成果が27日のスペシャルイベントで公表されることになるかもしれない。

タブレットを巡るAppleと出版各社との交渉は、以前にも米New York Timesの幹部が「Slate」という単語を用いて内部ミーティングで話題に出したり、オーストラリアの地元紙や出版社がAppleと交渉を行っているというリーク情報が流れたりと、たびたび話題となっている。

HarperCollinsをはじめとする既存出版社の電子書籍に対する不満はAmazon.comに価格決定権を握られていることで、本来儲けが出るはずの新書でさえ9.99ドルという価格に抑えられており(通常は20~30ドル程度が販売価格)、この価格決定オプションに柔軟性を持たせることが交渉の鍵を握っているとみられる。GoogleがEditionsで電子出版に参入を表明した際も、既存のAmazon.comのやり方に不満を持っていた出版関係者はおおむね歓迎の意向を示していたという。