Institute for Infocomm Research(I2R)~HDRイメージを見つめる視線に対応させてトーンマッピングする

シンガポールのInstitute for Infocomm Research(I2R)の研究グループは、ユーザーの視線の位置を認識して、その視線の先が最も適した階調で見えるように自動的にトーンマッピングする「Eye HDR:Gaze-Adaptive System for Displaying High-Dynamic Range Image」の研究成果を展示していた。

ブースの様子

仕組みはとてもシンプルで、まず被験者の左右の目をCCDセンサーで捉え、これを画像処理をして画面のどこを注視しているかを推測する。その注視領域の平均輝度を求め、そのあたりが基準輝度になるようにトーンマッピング(ダイナミックレンジ圧縮を伴った階調カーブ補正のこと)を少々のレイテンシを設けつつ行う。

開発メンバーのHuang Zhiyong氏はHDRイメージの評価や、あるいはHDRイメージの制作、編集に役立つだろう、と述べている。

PS3にしろ、Xbox360にしろ、2010年にはディスプレイ(テレビ側)にCCDカメラを置いてのモーションコントローラを投入してくる。こうした視線の動きに応じて画面の表現が変わるようなインタラクションなどをゲームに取り込めれば、ユニークなプレイ体験を提供できるかも知れない。シンプルな仕組みの研究だけに実現性は手堅い。

プレイヤーの視線位置に呼応してトーンマッピングを変化させようというのがこのシステム

実際に体験している様子。トーンマッピングの変化は、実際の人間の視覚現象である明順応や暗順応二足した感じで遅延を持って行われる