東京大学~バーチャルに重いものを持ったり、釣りをしたり……

ゲーム機のジョイパッドには振動フィードバックが搭載されて久しいが、さすがにまだ、腕全体に掛かる衝撃を再現したり、重さを体感したりできる仕組みは提供されていない。

東京大学の研究グループが発表していた「FlexTorque」システムは、疑似的に腕に掛かる力を再現し、物を持ったときの重さを再現したり、あるいはスポーツなどにおける腕そのものに掛かるフォースフィードバックを再現する装置だ。

構造は意外にシンプルだ。

被験者は肩下の上腕あたりに相対する2つのDCモーターユニットが備わった上部ユニットを装着し、さらにここからベルトで結ばれた下部固定ユニットを手首に装着する。2つのDCモーターユニットは、再現したい力情報に応じたベルトの巻き取りを行って、腕に掛かるテンションを作り出す。より詳しい動作原理の解説についてはこちらの動画を参照のこと。

モーターユニットのクローズアップ写真。重さは全体で60g程度なので腕に取り付けてもこれ自体が重いと感じることはないはず

装着時の様子。モーターが赤いベルトを巻き取ることでテンションを再現

ブースでは、釣り、射撃、ウェイトトレーニングなどのゲーム感覚の体験が楽しめるデモを公開。体験そのものが見た目で分かりやすいため人気を博していた。

釣りゲームでは魚が竿を引く感じをこのシステムで再現。小刻みに引く感じがとてもリアル。同様に射撃ゲームでは、銃弾を発射したときの振動が、ただの揺れではないのが新鮮だ。発射時の衝撃で銃そのものが前後に移動する、マシンガンのブローバック的な衝撃が楽しめるのだ。ウェイトトレーニングゲームは、重い物を持ったときの、あの腕が下がるテンションが再現されかなりリアル。

なお、画面とのインタラクションの取得にはWiiリモコンを使用。最近は、BluetoothでWiiリモコンをPCと接続してPCアプリケーションソフトに応用するテクニックが流行しており、FlexTorqueにおいてもデモゲームにはこの技術を利用していた。

人工筋肉は高分子素材を用いた素材に関する研究が最先端とされるが、そうした素材は非常に高価だ。それと比べ、FlexTorqueの仕組みは比較的低コストで実現されるため、民生向けには実用化しやすいはずだ。今後の研究の発展に一層の期待が掛かる。

釣りゲームでは獲物が竿を引く手応えを感じられる

射的ゲーム。銃弾発射時の銃が前後に動くテンションが再現される

ウェイトトレーニングゲーム。重りが増加すると腕にかかる力が増す