既報のとおり、リコーからレンズ交換式ならぬユニット交換式カメラ「GXR」が10日に発表された。ボディ内に撮像素子をもたず、「レンズ+撮像素子+画像処理エンジン」を組み合わせたユニットを着脱する、新方式のデジカメで「一眼レフでもできなかった領域に足を踏み入れる」と同社 パーソナルマルチメディアカンパニー プレジデント 湯浅一弘氏は意気込む。

我々のこだわりは「コンパクトデジタルカメラ」

一眼レフが担ってきた領域に、「GXR」で新たに挑戦する

発表会冒頭で登壇した湯浅氏は、一眼レフユーザーの広がり、ブログや携帯電話など写真に関わる機会の増加など、カメラ市場の変化に言及。また、マイクロフォーサーズ機の登場やトイカメラ人気などを挙げ、「カメラの進化は多様化している。今までのスタイルにとらわれない新たなスタイルが生み出されている」と分析。そうした状況下で「撮影領域の拡大」を目指す同社では「既存の常識の中では実現できなかった、飛躍的に撮影領域を拡大するような夢の世界に挑戦したい」という想いがあったという。

その想いを具現化すべく今回、新たに発表されたGXRのキーワードは「すべての世界を撮りつくせ!」。「リコーが今できることは何かを考えた」結果として、GRD、GXに匹敵するボディサイズ、一眼レフ機に匹敵する画質、コンパクトカメラに匹敵する機動性を併せ持つカメラとしてユニット交換式カメラが生まれたのだ。

一眼レフにしかできない、と思われていた領域に新たに挑戦するために「既存のシステム領域にとらわれない新しい発想を付加したシステムの創造が必要だった」と湯浅氏は語る

同社が掲げる、ユニット交換式カメラシステムの特徴は、以下の3つ。


1.そのシーンごとに最適な画質が得られるレンズやセンサーに、フレキシブルに対応できること
2.一眼レフ並みの高画質な写真が常に撮れること
3.重い、大きい機材を持ち歩くことなく、コンパクトカメラ並みの機動性が発揮できること

これらの長所をもつGXRで、「(カメラ選びで)オーバーシュートされている方の荷物をおろしてさしあげたい」と湯浅氏。独特な言い回しでレンズ交換が可能なデジカメで世界最小・最軽量というGXRをアピールするとともに、ユニット交換式カメラシステムが実現する「携帯性」「高画質」「表現力」「操作性」「拡張性」について紹介した。特に、画質を決定付けるファクターに関して、「レンズごとに最大限の実力が引き出せる撮像素子を採用し、エンジンを個別開発するGXRでは、常にベストマッチの組み合わせを実現できる」と自信をみせた。

女性でも片手で楽に持てる軽さの、GXR

専用ユニット。本体前面左上にあるレバーでユニットの取り外しが可能だ

「携帯性」:ボディ単体では約160g。ユニット交換式の場合は常に最小サイズでの設計が可能となるという

「高画質」:レンズ、撮像素子、画像処理エンジンという画質を決定づけるファクターをベストマッチな状態で提供する

「表現力」:レンズ、撮像素子、画像処理エンジンのベストマッチな組み合わせは表現力にも広がりを生むという

「拡張性」:将来的には、ユニット拡充によりシステムの可能性を広げていく

「操作性」:スライドイン・マウント構造により一眼レフにはない手軽さを実現。湯浅氏が「設計者に何度も作り直させた」という、こだわりの部分でもある。また、同構造により、後天的なゴミの進入を防ぐ効果もある

ユニット交換式カメラシステムの拡張性

GXRという名前は、同社が"拡張性"の象徴とする「GX」シリーズおよび同社レンズ交換タイプのルーツ「XR」に由来。「GXの進化形だと思っている」と湯浅氏が語るように、今後は同製品を、既存の「GX」シリーズに置き換えて展開していく予定だ。

「GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO」のレンズ特性

「RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC」のレンズ特性

さらに今回は、カメラ本体と同時に、専用カメラユニットとして標準マクロレンズとAPS-CサイズCMOSを組み合わせた「GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO」と、標準ズームレンズと小型CCDを採用した「RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC」を発売。来年のできるだけ早い段階で、望遠レンズと高速CMOSを組み合わせたタイプも発表する予定だ。

会場には、ユニット交換式カメラシステムの拡張性コンセプトモデルとして、プリンターユニットやプロジェクターユニットなども展示。現時点では、全てコンセプトモデルということで商品化は未定だが、「カメラ本体だけではなく、さまざまユニットを年に2~3個だしていきたい」(湯浅氏)。マウント規格を公開して仲間を増やす可能性はあるのか? という問いには、「積極的に現時点でオープンにしようという気持ちはない」と言葉を濁しつつも、「提案があれば拒否するつもりもない」と将来的な展開に含みをもたせた。

ユニット交換式カメラシステムの拡張性コンセプトモデルも展示されていた

「レンズユニット」と発言した報道関係者に対し、「"カメラユニット"と表現していただきたい」とこだわりをみせた湯浅氏。想定ターゲットは、GRやGXシリーズと同様に「カメラが大好きな人たち」と言い切るリコーの画期的なカメラシステムがカメラ市場に新たなムーブメントを巻き起こすのだろうか。

自由度をもたせたレイアウトで今後もさまざまな展開が予定されるという「スライドイン・マウント構造」

処理の最適化を図る「ツインエンジンテクノロジー」

0.37型92万ドット相当のEVFも用意

シリーズで絵作りを統一する。シャープネスは、一眼と比べて少し高め

「画質設定」での設定数を5から9段階に拡大した

GXRのデザイン。前後のグリップにはラバー素材を採用しフィット感を高めている

発表会には、写真家のハービー・山口氏とテラウチマサト氏も登場。もっぱらライカ派だというハービー氏も、GXRには「ここまでやられると、うーんデジタルやるな!ってかんじです」