カシオ計算機「EXILIM Hi-ZOOM EX-H10」は、光学10倍ズーム機では世界最薄&最軽量を誇るコンパクトデジカメだ。従来のEXILIM Hi-ZOOMシリーズから、レンズとデザインを一新したほか、撮影枚数1,000枚の大容量バッテリーや、風景の見栄えを高める「風景メイクアップ」機能に新対応。また、進化した「ダイナミックフォト」機能を搭載する。発表時の推定市場価格は4万円前後。現在の市場価格はマイコミジャーナル価格情報をご覧いただきたい。

EX-H10。レンズは24~240mm相当の光学10倍ズーム

新機能「風景メイクアップ」を試す

カシオのEXILIMシリーズといえば、デジタル技術を駆使したユニークな撮影機能が見どころのひとつだ。少し前の例では、斜めから撮影した被写体の歪みと傾きを補正する「ビジネスショット」や、色あせたプリントの色合いを補正する「よみがえりショット」など。最近では、人肌を美しく仕上げる「メイクアップ機能」や、動く被写体を静止画に合成する「ダイナミックフォト」、連写した被写体を多重露光のように1枚の写真に仕上げる「マルチモーション撮影」など、他社機には見られない斬新な仕掛けを盛り込んでいる。

今回の新製品EX-H10では、風景の色彩感をいっそう際立たせたり、かすんだ空にメリハリ感を与える「風景メイクアップ」機能を搭載した。これまでの「風景撮影モード」のように全体の彩度やコントラストを高めるのではなく、画像に含まれる印象的な色を自動解析で推定して、その色を美しく仕上げられることがポイントだ。さっそくこの風景メイクアップを試してみよう。

風景メイクアップの設定画面

左が風景用の「風景メイクアップボタン」で、右が人物用の「人物メイクアップボタン」

使い方は、まず本体上部に新設した「風景メイクアップボタン」を押して、風景メイクアップモードに入る。同モードには「鮮やか風景」と「もや除去」の2種類があり、SETボタンから呼び出す設定画面では、それぞれ2段階のレベル設定ができる。そして、シャッターボタンを押すと、撮影と同時に画像解析とデジタル処理が行われ、自動的にくっきりした写真が撮れる、という流れだ。効果のほどは、通常モードや風景モードと撮り比べた、下の作例を見てほしい。

通常の撮影モード

ベストショットの「風景」で撮影

風景メイクアップ「鮮やか風景:+2」

鮮やか風景をレベル+2に設定すると、シーンによってはかなりどぎつい印象になるので、緑や青空など元から色彩豊富な風景ではレベル+1を基準にして撮るのがよさそうだ。色が乏しい曇天下や、あえて鮮烈な色を表現したい場合には適時+2に切り替えるといいだろう。また、色彩感よりもメリハリ感をアップしたいときは「もや除去」を選ぶといい。いずれの設定でも、撮った直後に数秒の待ち時間が生じるが、風景を連写することは稀なので、特にストレスを感じるほどではない。

旅先で美しい風景に出会って、夢中になってシャッターを切った。だが後から写真を見てみると、なんとなくぼんやり写っていて、その場で感じたはずの感動や興奮が記録されていない……。そんな経験がある人にはきっと役立つ機能だ。

通常の撮影モード

風景メイクアップ「鮮やか風景:+2」

通常の撮影モード

風景メイクアップ「鮮やか風景:+2」

通常の撮影モード

風景メイクアップ「もや除去:+2」

この機能とは別に、従来機「EX-Z300」や「EX-Z400」で採用された人肌用のメイクアップ機能も「人物メイクアップ」という名称で引き続き搭載する。こちらは風景ボタンの隣にある「人物メイクアップボタン」でON/OFFの切り替えができ、自動認識した人物の肌に対して、色と階調の自動補正が撮影時に行われる。効果のレベルは1~12の範囲で調整可能だ。

メイクといっても、すっぴんの肌にアイラインやチークが加わるわけではない。目やまつ毛、髪の毛などのシャープ感を保ったまま、肌の表現がソフトになり、キズやニキビが目立たなくなる。老若男女の区別なく補正は適用され、たとえ老人でも頬ずりしたいような赤ちゃん肌に仕上がる。

ここでちょっとした悩みが生じる。風景メイクアップと人物メイクアップの同時選択はできないので、風景の前で人物を撮る際には、どちらを選ぶか悩ましいことだ。そのくらいは各自で判断すればいいが、たぶん、肌や髪の毛、服の色が強調されるのを避けたいなら、人物が入る構図では人物メイクアップを選ぶのが無難だと思う。……続きを読む