新技術を採用した高効率モジュールを展示

シャープのブースでは、前面では薄膜太陽電池などの展示も行われているが、その奥では、高効率太陽電池モジュールなどの展示が行われている。

シャープの開発した高効率モジュール(モジュールレベルで変換効率14.4%を達成している)

同モジュールは、poly-Si系太陽電池で、集電ロス低減のためにメイン電極を2本から3本に増やしながら、メイン電極とサブ電極ともに電極の微細化を行うことで受光面積を拡大している。また、低反射ガラスを用いることで光の取り込み量も向上、太陽光の従来以上の活用に成功したという。

モジュール変換効率は14.4%、外径寸法1318mm×1004mm×46mmで最大出力は191Wとしており、家屋の屋根部分約26.5m2に設置した場合、容量は3.82kWとなり、年間予測発電電力量は4,112kWhに達するとしている。

単結晶として変換効率23.0%を達成したHIT太陽電池

三洋電機のブースでは、同社独自の太陽電池「HIT太陽電池」の紹介が行われている。同電池は、単結晶Siの基板にp型およびn型のa-Si層を積層させることで、単結晶Siの発電効率を向上させているのが特長。

三洋電機のHIT太陽電池を用いたモジュール(画像はセルの変換効率は19.7%のものを使用している現行品)

現在、モジュールに用いられているセルの変換効率は19.7%だが、研究所レベルでは23.0%を達成。今後、量産モジュールへの技術適用を順次行っていくとしている。

この変換効率は、単結晶Siとa-Si層とのヘテロ接合界面を高品質化したこと、光吸収損失を低減したこと、抵抗損失の低減などを実現したことにより可能になったもの。

プロセスとしても量産を前提としたものを採用して開発されており、量産適用はそれほどの問題もなく進められる予定としている。

97%以上の変換効率を実現したコンディショナを展示三菱電機のブースでは、実用サイズのpoly-Si太陽電池セルとして変換効率18.9%を実現したセルの展示が行われているほか、電力変換効率97.5%を達成したパワーコンディショナの紹介が行われている。

変換効率18.9%を達成した太陽電池セル

同セルに採用された技術は、セル表面の反射率を低減させるために、最適構造の1つであるハニカムテクスチャ構造を、レーザパターニングと湿式エッチングを用いることにより、形成する技術を開発、実用化のめどをつけたというもの。

また、セルに吸収されにくい太陽光中の赤外線を裏面反射構造により、セル内で多重反射させることで、取り込み量を従来比26%増加、これにより光電気変換効率の向上を図ったという。

一方のパワーコンディショナは、一般的なコンディショなでは1台のインバータを用いて矩形波を生成し、フィルタ回路を通して正弦波に整えていたが、損失が大きいことが課題になっていた。同社では、電圧の異なる3台のインバータを組み合わせることで、段階的な擬似正弦波を生成する「階調制御インバータ方式」を採用。これにより、フィルタ回路の小型化を実現したほか、電力損失の低減に成功。0.9~4.0kWの間で定格効率97.5%以上を達成したという。

三菱電機の電力変換効率97.5%を達成したパワーコンディショナ(左)と同コンディショナに用いられているパワーモジュール(右)(パワーモジュールの中にはインバータのほか、コンバータなどの素子が搭載されている)