もう一つの大きな強化点が、SSDモデルの追加である。従来モデルはHDDを採用する多くのNetbook同様に、160GBのHDDを搭載していた。NetbookでもSSDを搭載する製品は存在するが、こちらもULCPCライセンスの提供を受けるには32GBという容量の制限がある。
しかし、本モデルはそもそもULCPCの仕様にこだわった製品ではないことから、80GBというこのクラスとしては大容量のSSDを搭載する。しかも、パフォーマンスに定評あるIntel製のSSDを採用している。型番からすると「X25-M Mainstream」をベースにしたHP向け仕様の製品と見られる。
このSSDは単体で購入すると36,000円強といったところ。それを搭載して直販価格を79,800円に抑えているのだから、この1点だけを見ても従来モデルよりも、かなりお買い得感の高いモデルと言っていいのではないだろうか。
■3DMark06 | ||||
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3DMark Score | SM2.0 Score | HDR/SM3.0 Score | CPU Score | |
新モデル | 117 | 54 | N/A | 483 |
旧モデル | 123 | 57 | N/A | 484 |
■PCMark05 | |||||
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PCMark Score | CPU Score | Memory Score | Graphic Score | HDD Score | |
新モデル | 2155 | 1489 | 2248 | 598 | 20016 |
旧モデル | 1563 | 1489 | 2342 | 549 | 5759 |
■フルパワーモードにてFFBenchをループさせたバッテリ持続時間 | |
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新モデル | 1時間50分14秒 |
旧モデル | 1時間54分2秒 |
そして、この性能への効果も小さくない。すでに掲載されている従来モデルのパフォーマンス測定結果と比較してみると分かるが、PCMark05のHDDテストが極めて高いスコアをマークした。もっとも、これはある意味当然の結果といえるが、CPUテストやGraphicsテストなどもスコアアップしている点は気に留めるべきだろう。CPUやチップセット(および内蔵されたグラフィック)の性能は従来モデルと同一であり、SSD化やメモリ容量増が、こうした全体のパフォーマンスアップに寄与している結果といえる。
そのほかのパフォーマンス測定結果にも言及しておくと、PCMark05のメモリスコアが従来モデルよりも低くなっているのは、メモリ容量増によってアクセスの効率が落ちているためと思われる。実使用において体感できる差ではないし、メモリ容量増というメリットもあることを考えれば、目くじらを立てるほどのポイントではない。同じく3DMark06のスコアも下がっているが、この理由は液晶解像度が高いので、条件が変わっているからである。妥当な結果だ。
気になるのはバッテリ駆動時間である。ここでは、従来モデルの記事と同じく、液晶輝度を最大にしてFFBench3のLowモードを無限ループさせる場合の駆動時間を計測しているが、その結果が4分ほど短くなっているのだ。
ここで実施しているテストの場合、SSDとHDDの差はあまり出ないはず。一方で、ノートPCのバッテリ駆動時間に大きな影響を与える液晶パネルが変化したことの影響は少なからずあるはずだ。この4分という数字はバッテリ駆動時間の違いはごくわずかである、というとらえ方が妥当だろう。
つまり、上位モデルとして、得られるエクスペリエンスが向上した一方で、バッテリ駆動時間は従来モデルと同等レベルが確保されているのである。これは重要なポイントだ。
ところで、順番は前後するものの、HP Mini 2140には「HP 3D DriveGuard System」というHDD保護ツールが用意されている。これは3Dモーションセンサーを利用して、強い揺れや衝撃を検知したときにHDDのヘッドを退避することで、HDD記録面の物理破損によるデータロストを防ぐものだ。しかし、SSDの場合はフラッシュメモリによる電気的なデータ記録となるので、こうしたツールは不要だ。にも関わらず、本モデルでも、このツールが動作してしまっている。リソースの無駄遣いなので、アンインストールしてしまうといいだろう。