新しい信号絶縁方式「i Coupler」
フォトカプラと同様の絶縁機能を実現する新しいデバイスがここ数年で開発・発売されてきている。Analog Devices(ADI、日本法人:アナログ・デバイセズ)では、フォトカプラの代替ソリューションとして磁気的結合を利用した新しいデジタル・アイソレータとして「i Coupler」技術を提案し製品化してきた。
i Couplerはすでに初めの製品発売から6年以上が経っており、すでに2憶5千万チャネルを超える採用実績がある。この技術により、安全で信頼性の高いデータ転送が提供されてきた。
i Couplerの絶縁方式は図6に示すように、半導体製造工程で作成したマイクロコイルが絶縁体となるポリイミドを挟んで対向するように作られており、一対の磁気コイルによって信号伝達される方式である。
絶縁信号の伝送(デジタル信号の伝達)は、図7に示すように、ドライバ回路で入力されたデジタル信号の立ち上がり、または立ち下りエッジを常に検出し、立ち上がりの場合は2パルス、立ち下りの場合は1パルスを発生し、1次側コイルを通じて対向する2次側に伝達される。2次側のレシーバ回路では受信されたパルスにしたがい立ち上がりと立ち下りを復元する。このようにデジタル信号が伝達される様子を図7に示す。
外部からのノイズの影響によるエラーを無くすために、さらに一定期間が経過すると入力信号論理レベルにしたがったパルスを発生し2次側に伝達する。このようにエッジとレベルを常に検出し、入力の変化がなくても一定のパルスを伝送している。2次側レシーバ回路ではウォッチドッグタイマーによってパルス列が伝送されない場合は、何らかの原因により通信の途絶が発生したとして検出することができ、あらかじめ決まった論理設定にステイトが変化し外部に故障を知らせることができる。