ブレードサーバの基本構造は、シャーシ(「エンクロージャ」と呼ぶベンダーもあります)とサーバブレードに大別することができます(図4)。シャーシは筐体という意味ですが、サーバブレードを複数格納する装置のことです。サーバブレードはシャーシに格納されるサーバのことで、刃物のように薄くて細長い形状であることから「ブレードサーバ」と呼ばれるようになりました。

図4 ブレードサーバの基本構造(日本アイ・ビー・エムと富士通の製品例)

シャーシの構造

電源モジュールや冷却ファンモジュールなどのモジュールは、シャーシ内の「バックプレーン」と呼ばれる回路基板に装着されます。バックプレーンの存在により、個々のモジュール(※4)をケーブル接続する必要がなくなるため、メンテナンス効率が向上します。また、バックプレーンに接続するモジュールは、冗長化できるようになっているものが多いようです。

※4 モジュール:モジュールとは「規格化された構成単位」という意味です。モジュールというと、ソフトウェアのイメージが強いかも知れませんが、ブレードサーバのように分離可能なハードウェア部品を指すこともあります。

バックプレーンは、電源が入った状態でも抜き差し可能なホットスワップにも対応している場合が多く、冗長化された部分が故障した場合は、サーバを停止することなく交換が行えます。

その他、ベンダーや機種によっては管理モジュールやLAN、SAN用のスイッチ、ストレージ、テープ、DVD-ROM装置などをシャーシに搭載できる製品もあります。

そしてブレードサーバの特筆すべき点の1つは冷却ファンです。シャーシをゾーンごとに区切り、それぞれを効率的に冷却する「並列冷却」という考えを採用しているベンダーもあるのですが、これは4ゾーンに対して10個の冷却ファンを配置し、シャーシ内がムラなく冷やされるようにするものです。

また、各ファンは常に100%で回転しているわけではなく、ゾーン内部の発熱状況に合わせて自動的に回転数を制御します。これは、冷却ファンの1つに障害が起きても、同じゾーン内の他の冷却ファンの回転数を上げ、全体の冷却能力を落とさないようにするための仕組みです。つまり、最小限の電力でファンを動作させることが可能なので、効率的にサーバを冷却することができるようになっているというわけです。

サーバブレードの設計

CPU、メモリ、HDDという基本的な構成は、ラックマウントサーバと違いはありません。しかしブレードサーバでは、シャーシで他のサーバブレードと共有している電源部やファン、I/Oモジュールなどが存在しないため、コンパクトな作りが可能になっています。

最も冷却させる必要のある部品であるCPUを前面に配置しているサーバブレードもありますが、これだとHDDのホットスワップによる交換ができません。そこで、HDDを前面に配置し、CPUの前に冷却ファンなどを取り付けることで、排熱効率を上げているサーバブレードもあります(図4)。