室内やラックの排熱能力

ブレードサーバは空気を前面から吸い込み、背面から吐き出すように設計されています。

これまでのサーバルームやデータセンターでは、冷却装置を使って部屋全体を冷やす方法が主流でしたが、この方法では排熱と冷却用の空気が混ざり合ってしまい、本来吸い込むべき温度より高い状態で空気を吸い込むことになってしまいます。実際に、ラック内やサーバ内の温度上昇が起こり、熱暴走や故障が起きる可能性が高くなるといった問題がありました。

これを改善する方法は、暖気(排熱)通路と冷気(冷却)通路を分割することです。 最近建設されているデータセンターでは、サーバラックの配置に関する空調の効率化を図るため、排熱された暖気を通すホットアイルと、サーバを冷やすための冷気を通すコールドアイルを区分けすることが多くなっています(図7、図8)。

図7 最近のデータセンターは、暖気と冷気の通路を区分けしていることが多い

図8 ビットアイルが2009年9月にオープンしたデータセンター(東京都文京区)のコールドアイル内部。左右にサーバが並ぶ。このフロアは冷気が床下から送り込まれる構造。通路内部は上下も出入り口も仕切られているため、冷気はサーバを通過して通路外部へ抜け出る(写真提供マイコミジャーナル)

ホットアイルとコールドアイルを明確に区分けすることにより、空調機を使って冷却した空気を効率よくブレードサーバに供給できます。

冷気と暖気が混ざらないようにする必要があるのは、ラック内部も同じことです。サーバから排熱された空気は、ラックを通過して大半は外に出て行きますが、一部は上方や下方よりラック内部に戻ってきます。この空気がラック前面に進入すると、冷気と混ざり合う結果となります。この戻りを防止するにはブランクパネルが有効です(図9、図10)。

ブランクパネルは機器がマウントされていない部分に設置します。これにより、すきまからの空気が遮断され、適切な空気の流れを維持することができます。

図9 ラック内ではブランクパネルで冷気・暖気の混ざり合いを防ぐ

図10 ラック内のブランクパネルの例

執筆者プロフィール

なかしま ひろとし(Hirotoshi Nakashima)
ナカシマ・システム・コンサルティング代表
学校法人青山学院にて研究・教育システムの設計・構築・運用業務に携わった後、富士通やNTTコミュニケーションズなどで公官庁系の構築・運用プロジェクトやデータセンター内大規模運用プロジェクト責任者などを歴任。プロのSEとして、システムの設計から構築・運用までの業務を熟知している。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.9(2009年3月発刊)』
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは 異なる場合があります。ご了承ください。