「ラックマウントサーバとの違いは?」「消費電力は?」「導入のメリットは?」「ベンダーロックインの不安要素は?」……ブレードサーバを導入するとなると、その前に知っておくべきことが意外と多いことに気付きます。ここでは、現場では恥ずかしくて聞きづらいことも含めて……必ず知っておくべきことを1つずつ解説します。

ブレードサーバが注目されている理由としては、ラックマウントサーバやスタンドアロン型のサーバと比べて、多くのメリットがあることが挙げられます。ここでは、そのポイントを簡潔にお伝えしましょう。

高密度にラックへのサーバ搭載が可能

図1 同じ10Uサイズでも、ブレードサーバの方が高集積を実現できる(この図はあくまで「考え方」をわかりやすくお伝えするためのものです)

ラックマウントサーバの場合、高さと幅の規格がEIA(米国電子工業会)により決められています。通常のラックマウントサーバの場合、1U(=44.5mm)のサーバだと5台で5U、10台で10U必要になりますが、大量にラック内にサーバを導入したいという要望に応える形で開発されたのがブレードサーバです。そのためブレードサーバは、6Uで8台や、10Uで16台搭載できる製品があります(図1)。

高密度化により、1ラックあたりのサーバブレード(サーバモジュールとも言います)搭載数を増やすことが可能になります。

省電力(グリーンIT)にも貢献

ラック内に高密度にサーバブレードが搭載されることを想定して開発されているブレードサーバは、プロセッサを含め、低消費電力の部品が採用されています。また、電源モジュールや冷却ファンモジュールなどを複数のサーバブレードで共有していることから、タワー型やラックマウントサーバに比べて電力消費が少なく、省電力化が実現できるとされています。

最近では、シャーシに付属する管理ツールにより、シャーシやサーバブレードごとの消費電力の計測はもちろんのこと、最大電力を制御する機能を持つブレードサーバも発売されています。このような製品では、稼働率の低いサーバブレードを自動的に省電力モードに切り替えることができます。

また、シャーシ内のサーバブレードの搭載率が低い場合、自動的に必要のないファンが稼働しないように設計されている製品もあります。

多重化・冗長化・専用設計による高い信頼性

いくら高密度になったからといって、サーバブレード自体の信頼性が低くては、企業の基幹システムに採用したり、大事なデータをサーバ上に置いたりすることはできません。ブレードサーバでは、高い信頼性を実現するために、以下のような機能を実装しています。

モジュールの多重化・冗長化

ブレードサーバでは、電源モジュールや冷却ファンモジュール、管理モジュールなどを複数のブレードモジュールで共有しています。各モジュールは、冗長構成をとることで、故障した際にホットスワップ(※1)が可能となっています。これにより長時間の継続利用が可能となっています。

※1 ホットスワップ:ホットスワップとは、コンピュータの電源を入れたまま、パーツやケーブルを交換することを言います。