PCゲームから始まり、TVアニメ、Xbox 360、さらにはコミックスなど、幅広い展開をみせる『CHAOS;HEAD』。その劇中において活動するバンド・ファンタズム。そして、そのボーカルのFESが、3月14日、本作の舞台でもある渋谷の街にリアルブートした。

会場は、キャパが200人ほどのライブハウス。劇中に登場するライブハウスと似た雰囲気を醸し出す。ライブハウスごとリアルブートした……、と錯覚させるこだわりぶりである。会場には詰め掛ける多数のファン。開演を待ちわび、場内の熱気は最高潮に達する。

ステージに設置されたスクリーンに映し出される無機質な映像。そして、期待に胸躍らせる観客の鼓動をさらに加速するSE。まずはファンタズムのメンバーがステージ上にリアルブート。そして……、FESの降臨。ファンタズム・シークレットライブ「幻影の黒ミサ」がスタートした。

サウンドが鳴り響く中、何も語ることなくマイクに向かうFES。オープニングナンバーは、Xbox 360『CHAOS;HEAD NOAH』の挿入歌「密教の首飾り」。続けざまに、新曲「贖罪のエロティカを歌い上げる。

FESが口を開く。

――今日はファンタズム・シークレットライブ「幻影の黒ミサ」へようこそ。本当にたくさんの応募があったみたいだけれど、君たちが選ばれて、今この空間にいるのは、すべて、大いなる意思の導きによるもの。だから今日は、思う存分、私の魂の叫びを感じて帰って。

さらに言葉は続く。

――さっき歌った曲で、知らない曲があったと思うのだけれど、2曲目に歌ったのは、新曲の「贖罪のエロティカ」。今日はまだ発表していない新曲も含めて、ファンタズムのリリース曲を歌っていくから、しっかりとその目に、その耳に、その心に、焼き付けて帰って。

――準備はいい?

下界に降り立った巫女のようにFESの言葉は続く。観客は信者のように耳を傾ける。

――グラジオール黙示録詩篇にはこう書かれてあるわ。「7本のディソードが集まったとき、暗黒の大蛇が現れる」と。それは純粋なる邪心の塊。邪心を屠ることができる邪心。あらゆる崩壊を飲み込み、邪心王の身を砕くことのできる、同質にして異質なるモノ。その大蛇を出現させて、グラジオールの復活を阻止するのよ。

PC版『CHAOS;HEAD』の挿入歌「罪過に契約の血を」、そして新曲「闇に光を灯す者」。聴き馴染んだ曲、そして耳新しい曲。この2つのコントラストが、現実と妄想、その狭間に観客をいざなう。

――今歌った曲は、新曲の「闇に光を灯す者」。この曲も、とてもいい魂の響き。キミたちもそう思わない?

歓声がわきたつ。すこし間を空けてFESは続ける。

――今日はいつもより調子いいわ。声がクリアに聞こえる。世界がとても澄んでいる。コキュートスへの門が閉じているからかもしれない。世界の均衡は、大いなる意思が生まれてから数千年保たれていた。でも今、それが崩れつつある。とても不安定。だから私は歌うわ。君たちのカオスを受け入れてあげる。

そして声を高める。

――次、「磔のミサ」

TVアニメ版の挿入歌「磔のミサ」が会場の雰囲気を一変させる。今回のシークレットライブは、シングル「磔のミサ」の購入特典として開催されたもの。観客にとって、もっとも馴染み深いサウンドなのかもしれない。

曲が終わる。そしてFESがつぶやくにように言葉をつむぐ。

――その目、誰の目?

続く曲もTVアニメ版の挿入歌で、「磔のミサ」のカップリングとして収録されている「遥かなるイディヨナ」。馴染み深いサウンドの連続に、会場の盛り上がりもクライマックスに近づく。そしてクライマックスの後に続くものは……。

――次の2曲で、もうラストになってしまったわ。私ももっとキミたちのカオスを感じていたいけれど、終わりが来ることも、大いなる意思の導きなのだから、仕方が無いこと。でも、私は、今日が終わっても歌い続けるわ。これからも、私のカオスを感じてくれる?

終焉の宣告が、会場に火をつける。FESによる託宣の言葉は続く。

――天空、赤く染まるとき、邪心王の胎動と呼応し、七つ黒い邪心が呼ばれ、やがて聖域へと召喚される。そして、宣言するのだ。「悪夢よ、災厄よ、暗黒なる肉塊たちよ。邪心により邪心を屠られ、邪心王の支配する世界は、砕け散る」と。もう時間がないわ。グラジオールの復活はすぐそこ。

現実と妄想の狭間。リアルブートしたFES、そしてファンタズムのサウンドはラスト2曲。観客は祈る。終わりなき宴を……。

Xbox 360『CHOAS;HEAD NOAH』の挿入歌「アレルイヤの福音」、そしてPC版『CHAOS;HEAD』のエンディングテーマ、いわば始まりの終わりともいうべき「グラジオール」。この2曲を披露。そして、すべてを出し尽くしたかのように、何も語らずステージを後にするFES、そしてファンタズムの面々。

しかし、観客は求める。さらに求める。FESの言葉を、歌を。アンコールの声が響く……。

――アンコール、ありがとう。

ふたたびステージに姿をみせるファンタズム、そしてFES。

――実はファンタズムのFESとしてではなく、岸本あやせとして歌っている歌があるの。今日はファンタズムのライブだけど、特別にその歌を歌ってもいいかしら。

観客は歓喜する。岸本あやせのキャラクターソングにして、Xbox 360『CHAOS;HEAD NOAH』のエンディングテーマ「心の闇を切り裂いて」。FESでありながらFESではない。そんな横顔が観客を魅了する。

――次で本当に最後の曲になってしまったわ。キミたちが強く望む限り、私たちはキミたちのカオスな力で、リアルブートされることができる。今日のライブもそう。みんなありがとう。少しの間お別れだけれど、また君たちの力で、私たちファンタズムをリアルブートしてほしい。

ついに終焉を迎える。しかし、観客はそれを拒む。その気持ちを汲んだかのようにFESは言葉を続ける。

――人は涙を流すたびに、強くなれる。涙の河を渡って、渡りきったらまたそこに河があって……。その繰り返し。その繰り返しがあるからこそ、強くなれる。今日は本当にどうもありがとう。今日、ライブの最後にコキュートスの力をキミたちへ。

アンコールの、そしてステージのラストを飾るのは「磔のミサ」。FESの絶叫が響く。会場からの歓声は途絶えない。しかし、FESは振り返らない……。およそ1時間のリアルブート。FESの言葉を信じれば、決してこれで終わりではない。またどこかで、ふたたび……。

最後にもうひとつ、ステージで語られたFESの言葉を紹介しておこう。

――君たちはもう知っていると思うけれど、今日歌った新曲を含めて、そしてまだレコーディングが終わっていない1曲も含めたファンタズムのアルバムが5月にリリースされることが決定したわ。私の魂の叫びがつまった1枚のアルバム。みんなもちろん買ってくれるよね。そして、今日のライブの映像も少し入るみたいなの。私はあまり表に出たくないのだけれど、でもキミたちが望むのならば、それでもいいかな。

「CHAOS;HEAD ファンタズム 1stアルバム『~PHANTASM~End Prophecy』」は2009年5月6日の発売予定。ファンタズムの、そしてFESのリアルブートは終わらない。


ファンタズム・シークレットライブ「幻影の黒ミサ」楽曲リスト

M-01 密教の首飾り
M-02 贖罪のエロティカ
M-03 罪過に契約の血を
M-04 闇に光を灯す者
M-05 磔のミサ
M-06 遥かなるイディヨナ
M-07 アレルイヤの福音
M-08 グラジオール
-Encore-
M-09 心の闇を切り裂いて
M-10 磔のミサ

5月6日に発売される「~PHANTASM~ End Prophecy」のジャケットイメージ

タイトル CHAOS;HEAD ファンタズム 1stアルバム
~PHANTASM~End Prophecy
収録曲 【DISC.1 CD】
01. 密教の首飾り (Black Mass Ver.)
02. 贖罪のエロティカ
03. 罪過に契約の血を
04. 闇に光を灯す者
05. 磔のミサ (To the distance Ver.)
06. 遙かなるイディヨナ (Heavy Generation Ver.)
07. アレルイヤの福音 (Extra Solo Ver.)
08. グラジオール
09. 嘆きのアラベスク
【DISC.2 DVD】
01. 密教の首飾り
02. 闇に光を灯す者
03. 磔のミサ
ファンタズム FES (cv. 榊原ゆい)
発売予定日 2009年5月6日 品番 FVCG-1092
価格 3,150円
発売元 5pb. 販売元 メディアファクトリー