KDDIは7日、デザイナーとコラボレーションしたau携帯電話の新ブランド「iida」を発表、第1弾端末として「G9」などを4月下旬から発売する。「イノベーティブとデザインを大切にした」(小野寺正社長)ブランドとなり、今後順次製品を拡充していく。

小野寺正社長

デザイン性が高く、ユーザーのライフスタイルも見据えたiida

KDDIでは、今年春モデルの発表会で、小野寺社長が「アンビエント社会」を目指すという方向性を打ち出している。これは、ユーザーの利用シーンを「創造して提案する」ことが狙いだ。その中でauとしてのブランドをさらに向上させるために「イノベーティブ」「デザイン」「ユーザビリティ」「買いやすさ、選びやすさ」という4点を重視する。

アンビエント社会を実現するための、同社が重視する4つの柱

iidaは、そのうちのイノベーティブとデザインに注力して立ち上げられた新ブランドだ。「innovation(革新)」「imagination(想像力)」「design(デザイン)」「art(芸術)」の頭文字をそれぞれ取ってiidaと名付けられた。

新ブランドiidaのロゴ

デザインだけでなく、革新性や創造性といった点も重視される

新ブランドでは、さまざまなデザイナーとコラボレーションしてデザインに特化した製品を開発し、さらに「ユーザーのライフスタイルを演出する」(取締役執行役員常務・高橋誠氏)ことを目指すのがこのiidaブランドだ。

高橋誠氏

2001年から同社は、「au Design Project」としてデザイナーとのコラボレーションを開始。03年には最初の成果として「INFOBAR」をリリースし、その後7機種を発売。そのうち4機種がニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久収蔵品に選定され、高いデザイン性が評価されてきた。

au Design Project。4機種がMoMAに収蔵されている

しかしその後、「デザインがセンターに寄ってきた」と高橋氏が認めるように、auの高い「デザイン力」(小野寺社長)という特徴が薄れ、端末プラットフォーム「KCP+」の立ち上げに苦戦したことも重なって、契約数は伸び悩み、かつての勢いが失われてしまっていた。

今年の春モデル発表会で小野寺社長は「今まで築き上げてきたauのブランド価値」と表現していたが、今回のiidaブランドで特にデザイン力を再び向上させ、勢いを取り戻したい考えだ。

高橋氏は、現在の携帯市場では自分のこだわりやスタイルの反映、今までにない発想など、デザイン志向のユーザーが多く、「ライフスタイルに寄り添った商品群への期待が高まっている」という。

それに対しての回答がiidaで、デザイナーとコラボレーションし携帯や周辺機器といった商品を通して「暮らしをデザインしていきたい。携帯だけでなく、ライフスタイルまで演出していきたい」と高橋氏は話す。

そのため、これまでのau Design Projectが先進的なデザインを目指していたのに対し、iidaではそれに加えて使いやすい、質感、遊び心、愛着などといったコンセプトも追加。デザインだけでなく長く使ってもらえるような携帯を目指す。au Design Projectや、NS01/NS02というNSシリーズは「発展的にiidaに吸収される」(同)。

現在の市場のニーズ

デザインだけではないのがiidaの特徴

小野寺社長は、「iidaにはものすごい期待を持っている。iidaでは革新性を持ってやっていきたい」と意気込み、高橋氏は、「auでやってこられなかったものをiidaでチャレンジできるのではないか。これが(既存の)auブランドにもいい刺激を与えて、(一緒に)成長させていきたい」と決意を見せる。

これまでのau Design ProjectやNSシリーズを取り込み、別ブランドとして立ち上げるiida。各商戦期にリリースする通常のau端末とは異なり、商戦期を問わずリリースしていく予定。発表会も別々に行う計画だそうだ

iidaは、20代を中心として、半分以上が女性社員という同社の若手グループが企画した。高橋氏は、周辺機器ブランド「another work*s」のチームも取り込み、今後さらなる拡大を狙っていく意向を示す。今後、年1回以上の新製品を投入、auのもう1つの「大きな柱」(小野寺社長)として育てていきたい考えだ。

同日発表されたiidaブランド新製品は別記事で紹介する。