画面に触れずに快適にスライドさせるために生まれた造形
930CAのデザインを担当した杉岡氏 |
杉岡氏 EXILIMケータイは言うまでもなくカメラを主軸に据えたモデルですが、片面にカメラがあり、片面にモニターがあるというスライド構造は、デジカメスタイルを表現するうえで最適とも言えます。そこに、いかにEXILIMらしさを表現し、カシオのケータイらしい使いやすさを両立させられるかが課題となりました。
――930CAはディスプレイの右側に3つのソフトキーを配し、クローズ状態で使う場合の画面操作などがこれらのキーで行える仕様になっている。
杉岡氏 この部分は、カメラとして使う場合にグリップする部分になります。ディスプレイと段差を持たせて、安定したグリップ感を保ちながらキーを誤操作することがないよう配慮してデザインしました。左手に構える人や、両手で構える人もいますから、反対側もディスプレイに対して反り上がった形状にしています。
――"スライドするときに指がディスプレイに触れないデザイン"これも杉岡氏がこだわった点だ。
杉岡氏 スライド構造をデザインするにあたり、さまざまなスライド式端末を調査し、実際に触れてみました。そこで、どうしても気になったのが、多くのモデルがディスプレイ側と操作側を一緒に握ってしまう点でした。細かいところにまでこだわるのがカシオのケータイです。スライド時にどの指がどこに当たるのか、開閉の際に使う親指の置きやすい位置や押し引きにふさわしい形状などの検証も行いました。フレーム部分をディスプレイに対して少し出っ張らせており、左右にもハの字にカットを入れて、ユーザーが感覚的に「ディスプレイに触ってはいけないんだ」と感じられる構造にしてあります。
――スライド構造のため、本体左側面(カメラ使用時の下側面)に誤操作防止のためのロックキーが装備されている。このロックキーの上には「リブ」と呼ばれる短いラインの出っ張りがある。細部にまでこだわるのが、まさに"カシオらしさ"だといえよう。
杉岡氏 ロックキーはカメラ起動時にはクリアキーとして機能しますが、間違って押してしまう可能性も想定されます。使いやすいキーであると同時に、押し間違いをしない配慮もしなくてはならない。そもそもロックキーの形状はそのようにしてあるのですが、カメラの構え方は人それぞれなので、このリブを付け加えることにしました。
――930CAも3インチのフルワイドVGA液晶が搭載されているように、スライド構造は大画面ディスプレイを配置しやすいという利点がある。一方、スライドして引き出すキーパッドはエリアが狭くなりがちだ。できるだけフラットにする必然性もあるため、操作性に支障をきたすこともある。